17話:嫉妬に狂った病人ども


 藍野さんの屋敷に招待されて以降、必然的にというか、彼女との距離は縮まった。

 鮫村玄達の警告など全く気にせずに俺は藍野さんとの仲を深めていった。

 藍野さんも進んで俺の傍に来てくれてる。昼休みはたいてい彼女と会話して過ごしている。

 藍野さんはその綺麗な見た目と家柄がスゴい(組のことは秘密にしている)こと、さらには運動もよく出来ることで有名になった。


 その有名人である藍野さんと親しくしている、何の取り柄も無い凡人(そう振る舞っている)である俺に対して良く思わない連中はやはり現れるもので。


 ある日の昼休み、用を足して便所から出た俺を集団が囲む事態が起こった。そいつらは7人はいて全員男子だった。全員ほぼ強面をしていて、中には強面に見えるよう顔づくりしている勘違い野郎もいた。

 突然見知らぬ男子らに囲まれるようなことをした覚えが無い俺は視線で何かと問うたところ、やっぱりというか、前世と同じ事が起こった。


 「お前だな?5組の…俺たちのクラスの鮫村さんにちょっかいかけてる男ってのは」


 モブカス1が顔を凄めて無礼に問うてくる。不快指数ただいま50くらい。


 「は?いきなり人を囲んだかと思ったら何なのオタクら。

 鮫村さん…藍野さんにちょっかいと言えるようなことをした覚えは一切ねーよ。下らない言いがかりするだけなら戻らせてもらおうか」


 偉そうに無礼する奴らに対し俺も、不遜な態度をとってやった。案の定モブカス集団から怒りの空気が充満してきた。名前呼びしたことにもかなり憤りを感じている様子だ。


 「なら何でお前みたいな全くパッとしないどこにでもいる凡人に、才溢れる美少女である鮫村さんが傍にいるんだ!?おかしいに決まってる!」


 モブカスどもが意味不明な難癖をつけて非難してくる。さらに苛ついてくる。不快指数ただいま100に達しようとしている。


 「おかしいのは意味不明な難癖や言いがかりをつけて喧嘩腰になってるお前らだろうが。

 さっきから何だ?人の行動を妨げてはそうやって多数で1人を囲って尋問しやがって。感じ悪いと思わねーのか、あ?」

 「喧嘩腰?勘違いするなよ。これは話し合いだ。俺たちは別に寄って集ってお前を責めようとは思っていない」

 「思ってんだろが。これのどこが話し合いだ?こういうのを難癖って言ってんだろが。いい加減にどけよ感じ悪いなさっきから」


 ため息ついて前に進もうとすると、強面風のイキりっぽいモブカスどもが行く手を遮る。ウザい、キモい。不快指数150いった。


 「だから、これは話し合いだっつってんだろ?」

 「お前らの一方的な難癖だろうが。周りの奴らもそう思ってるようだぞ?」


 語彙を少し荒げて俺たちの周りの生徒たちを指して言ってやる。


 「さっきからごちゃごちゃと…!」

 「どうせ弱みでも握ってお前のとこに通わせてるんだろ!」

 「身分をわきまえろ!」

 「鮫村さんを自由にしろ!」

 「俺たちの鮫村さんを返せ!」


 などと逆ギレして、寄って集って俺を口々に非難して中傷してきた。不快指数が200以上。

 嫉妬もここまでくると病気だ。病気であるこいつらはそうやって俺に不快感と傷を与えてくるんだ。

 嫉妬に狂った病気どもが…!


 「はっ、マジでしょうもない連中。付き合ってられるか。俺の気が変わらないうちにこれ以上関わるな、クズ野郎どもが」

 「舐めた態度取ってんじゃねーよさっきからあああ!!」


 ついに勝手にキレたモブカスの1人が俺の胸ぐらを掴んだ。俺の目は不機嫌に細められたままだ。


 「俺は中学で学年一喧嘩強かったんだぞ!」

 「帰宅部が運動部相手に勝てると思ってねーだろうな!?潰すぞ!」

 「釣り合わないくせに生意気なぁ!!」


 そして1人が顔面めがけて拳をとばしてきた。

 不快指数が丁度300を超えた。もう我慢するのは止めよう。


 「もういいよモブカスどもが。全員殺すつもりでぶっ潰すわ」


 ガッととんできた拳を難なく止めて、殺意の波動を放ちながらそう呟いた。

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