光を駆ける者たち

あゆみ

プロローグ

ドゼルは足元に落ちている光る石を拾い上げた。

石はまるで心臓の鼓動のように一定の間隔で点滅している。

ドゼルに人間のような形があったなら、悲しい表情をしていたかもしれない。

いや、もしくはいたずらをする子供のように笑っていたかもしれない。


「こんな姿になってしまってかわいそうに」


憐れんでいるようにも面白がっているようにも取れるドゼルの言葉が光る石にも届いたのか、点滅する速度が急に速くなる。


「そんなに慌てることはない。お前を悪いようには扱わないよ」


そう言ったドゼルは足元にある他の石を物色した。そしてひときわ尖った石を見つけるとそれを手に取った。


「痛いことはあるまい」


そう言うや否や、ドゼルはその尖った石を光る石にぶつけた。カツンという石の割れる音が、あたり一面に響き渡った。

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