第16話 ~月狼砦と呪術師②~ザルドローグ滞在2日目

 翌朝。


 3人は係の者に言われた通り、再び月狼砦に来ていた。


 門番に用件を伝えると、しばらくしてハルザが現れ、


「昨日はお手続きありがとうございました。結果をお伝え致しますので、こちらへどうぞ」


 案内されるがままについていくと、昨日手続きをしたのと同じ部屋に通された。

 そして。


「結論から申し上げます。」


 こちらの緊張を知ってか知らずか、ハルザは少し勿体ぶる。


 ドキドキしながら次の一言を待つ3人。


「厳正なる審査の結果、面会の許可は下りませんでした。」


 ――!!


「ええーそんなー!!」


 全然残念そうに聞こえないが心底残念な気持ちでレイが抗議の声を上げる。


「お待ち下さい、最後までお聞き頂けますか?」


「?」


「えー、審査には通りませんでしたが。議員からお手紙をお預かりしております。これは大変珍しい事ですよ!何が書かれているかは存じ上げませんが。」


「手紙、か。」


「こちら、確かにお渡し致しました。本日は御足労ありがとうございました!!」


 そそくさと出口へと案内された。


「お手紙、何が書いてあるんでしょうか?」


「とりあえず、宿に戻って3人で読もうか。」


「分かったわ、そうしましょう。」


 という訳で、3人はサリュナの部屋に集まることに。


「よし、開封するよ」


 ごくり。


 緊張の一瞬だ。


「よし、読み上げるね。拝啓、サリュナ殿…」


 ――拝啓、サリュナ殿

 此度は、貴殿の災難にお見舞い申し上げる。

 さぞ辛い思いをされたであろう。


 職務の性質上、議員として会うのは些か躊躇われるが、呪術師と依頼人としてなら会わなくもない。


 この手紙に紹介状と地図を同封した。


 そこに私の呪術師としての店がある。5日後の夜、その店に同封の紹介状を持って来なさい。


 多少は待ってもらうが、そこは勘弁して欲しい。


 呪術師としてお待ち申し上げる。


 デューク=ジェリオ――



「だってさ。良かった!! 希望はまだあるよ!!」


「良かった、ザルドローグの呪術師さんと会えるのね!」


「はあー、一時はどうなることかと思いましたー!!」


「5日後までの4日間、どうやって過ごそうか?各自自由行動にするかい?」


「そうね。私は図書館に行こうかしら。」


「OK、僕も一緒に行くよ! レイはどうする?」


「私は……」


 ちょっと照れた様子でレイが続ける。


「以前お話した彼を探そうかと思います!」


「そうか……、いい結果になるといいね!」


「はいー! 以前住んでた場所にいてくれるといいんですが……」


 そう言ってレイは少し不安げに視線を街に投げた。


 時間はそろそろお昼を回る。


 いつもの食堂で美味しいお昼ご飯を堪能し、5日後の夜までの各自の行動を再度確認、解散するのだった。

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