第6話 僕にしかできないこと

その日は一通りのスケジュールを終え、昼過ぎ辺りに学校から僕達は帰っていく。途中までは帰り道が同じで一緒に歩いていく。


結局面接では勇者になるって言えなかったな・・・レナさんにも・・・




「あの、レナさんってお家どこなんですか?」




ふと気になって聞いてみる。それについてレナはキョトンとした顔で答える。




「んー家か。そこらの民家で────いや、まぁいいか。今は色々転々としながら過ごしてるかな、まぁ住所不定って奴だな」




「なるほど、そうなんですか」




僕は何の疑問も抱かずそれに受け答える。




「あれ、何とも思わないの」




レナさんは何故か僕に驚いた顔を見せた。だがその理由は僕にはよく分からなかった。




「えっと・・・あ、僕今年で九歳なのでまだよく分からないんです。それってダメなことなんですか?」




彼女はその答えにふと笑みを零した。




「ふふ、んな返事が返ってきたのは初めてかもな」




レナさんは少し嬉しそうな表情を浮かべる。






突然爆発音が聞こえる。レナさんは僕を制止し、先にその爆発音の元へと向かった。




「追いかけなきゃ・・・!」




僕はレナさんを追いかけていく。




「っち、ノープかよ・・・」




そこには全身一色の石像でできた巨人のような形をした生物が路地に出没していた。何人かのこの辺りの民間人がその生物に怯えている。レナさんはそいつを見て面倒くさそうに暗器を取り出す。




「オラァ!」




全然効いている様子は無かった。いよいよピンチと言った所だ、周りには受験生の顔も見えるがどうやら戦おうという意思は無かった。僕も怖くて足が動かない。




「俺、誰か呼んできます!!」




そう言うと一人の男の人が走り出した。どうやら人を呼んできてくれるみたいだ。




「ま、後はどう凌ぐかだな・・・」




暗器で上手く受け流しながらレナさんは戦う。だが巨人の方も相当巨大でかなり危ない様子だ。僕はその光景に何も出来ないでいた。




僕には何もできない・・・だって僕は弱いから───────でも・・・それでも!!




「レ、レナさん!! 僕が引き付けます!」




思わず僕は声をあげた。

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