第40話

 消耗戦を繰り返した超本営と真顔の反骨の争いは、徐々に沈静化していった。


 長い戦いの末に、お互いの陣営が疲弊し、当初の熱量も失われて惰性で睨み合っているような状況だった。


 紛争が始まりしばらくたった時、ウーバー・ワンが暗殺された。


 時を止める能力者も毒で呆気なく死んだ。


 真顔の反骨からのスパイがやったことだとされていたが、正式発表は未だにない。

 そのしばらく後に、超本営のナンバー3が自殺をしたことで、犯人探しは有耶無耶になったのだ。

 カリスマを欠いた超本営からは剥がれ落ちるように離脱者が続出した。


 一方で真顔の反骨からも、その思想を異なるものたちが出始めた。


 新しく『真・真顔の反骨』と名乗るものたち。


 さらに『笑顔の気骨』という冗談のような少数のチームに分離し、あるところでは共闘し、またあるところでは反発し合うという泥沼を呈していた。


 なによりも、隕石が専門機関だけでなく、それなりの設備があれば観測できるほどまで接近していたことが人々の気持ちを変えていた。


 隕石の落下までには三ヶ月。

 シェルターはほぼ完成し、備蓄品を運び込んで部分的にではあるが実験稼働段階に入った。


 シェルターに収容されるものの抽選は順次行われ、隕石落下一ヶ月前が最終になる。

 人々はそこに希望を託し、絶望に怯え、刹那の快楽を求める人々も増えた。

 犯罪はすでに日常であり、特殊能力者たちが対処できる量を超えていた。


 そんな中で生まれた第三の勢力。


 ウーバー・ゼロ。


 超本営と真顔の反骨の争いにどちらにも加担しない立場で、目前の犯罪を鎮圧するため活動をする組織だ。


 長官は、レディ・グラヴ・ボディ。


 そして副長官はローゼン・カメリア・サニーサイド・スマイリング・ブレイク・アロー・ウーマン。


 今は亡きウーバー・ワンの名を継いだ組織には、ラック・ザ・リバースマン、ハート・ビート・バニーも加入していた。

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