第25話 湖と妖精と一角獣と①

 


 山を越え谷を越えひたすら歩きつづけて行くと深い森のなかにひっそりと美しい泉があった。周りの景色のせいか水面でキラキラと輝いており光底まではっきり見えるほど水が澄んでいる。


「ヤベえ超綺麗な所じゃん、コレは癒やされるね」


「なあ、そろそろココらへんで休憩せえへんか」


 ヨッシーは虚空庫アイテムボックスからレジャーシートを出して座り出した。


「うむ、たしかに少し休みたいな」


「我が主人あるじよ、休憩も大事ですニャ」


「そうだね」


 オレ達はとりあえず休む事にした。


 ヨッシーは虚空庫アイテムボックスからコーラと紙コップ、ポテチ菓子を出した。


「ワイの好きなコンソメパンチや! あとコーラもあるで、コレがそのお菓子と合うねんで」


 ポテチを封を開き、皆んなの座る真ん中に置くと

 さっそくクリフとニーヤがそれに手を伸ばす。


「パリパリがたまらないニャ」


「うむ、不思議だ。何故か手が止まらない」


 オレはコーラを紙コップに注いでみんなに配っていった。


「むむ、コレは炭酸水に何かを混ぜたモノか?」


「シュワシュワいってるニャ」


 思った通り2人とも炭酸飲料にビックリしている。


 何だアレは?

 目を凝らしてよく見ると木の葉の影に隠れている何かを発見した。それはとても小さく、この葉に隠れているつもりだろうが残念ながら羽がはみ出している、まぁおそらく虫か何かだろう。


「よし、捕まえてみるか」


 オレがそれに向かって指を指すとそれはササッとどこかへ飛び去って行った。


「甘いニャ 拘束魔法バインド


 ニーヤがスパッとそれに向かって魔法を飛ばして行った。数分後、森の奥の方から悲鳴が聞こえてきた。


「うわぁああ!誰か助けてぇええええ」


 オレ達は声がする方へと駆けていくとそこには

 手のひらサイズの背中に二対四枚の蝶のような羽が生えている耳が長い緑色の髪の少女が縛られていた。


「ふむ、コレは妖精フェアリーじゃないか」


「イテテテッ! オイ、ちょっと離せってんだよ

コンチクショウ!」


「どうやらコレは邪妖精のようだな」


「誰が邪妖精だこのMハゲ! アタシはれっきとした妖精だっつーの」


「うむ、どうやらコレは邪妖精ではなく悪魔だそうなのでみんなで退治しょうじゃないか」


 クリフさんはニコニコしながらその妖精をスパッと掴み取り、強く握り締めた。


 うわぁクリフさんの顔は笑っているけど目が全然笑ってねえじゃん! コイツ今押しちゃいけないスイッチを押してしまったな怒りという名の……


「ギャァアアアッ! ちょっとタンマ〜っ!アタシはその食べ物の匂いにつられて来ただけなんだってばーっ! こんだけあるんだからちょっとくらいつまんだっていいだろ?」


「ええやん、クリフもう離したろうや」


ニーヤが拘束魔法を解き、クリフの手から離れると妖精はササッとポテチにかぶりついて行った。



 とりあえずオレはその妖精の話を聞く事にした。

 彼女はフレリーヌという名前らしく、ニーヤ曰く名前持ちだという事はそれなりに高位の妖精なのだとか? 彼女は夜、この泉に時々現れるユニコーンを見に来たのだとか


「ふむ、ユニコーンってたしか希少種じゃないのか」


「処女しか認めない。角は霊薬の材料になるといわれる馬ニャ」


「でも何故か最近なかなか現れなくてさ、前はそうでもなかったのに」


 ヨッシーがオレの隣に座り何故かオレの肩を叩いた。


「多分葉っぱビキニのフレリーヌちゃんはユニコーンの角を求めとるんとちゃうんか!それやったらマサ坊のモノの方が立派やって教えたれや」


「うむ、愛が芽生えるかもな」


「イヤイヤないからマジでやめてくれよ!」


 結局、オレ達も彼女とともに夜を待つ事にした。

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