Session01-9 今後のためにハーレムを

ハーレム結成回。

各キャラクターのイメージは以下の通り。自分がハマっているアークナイツのキャラを当ててます。

アイルのイメージは、星熊が一番近いかなと思います。

バーバラは、自分が応援している絵師様にキャラ絵作成いただき済み。今度載せます。

ピッピは、クロワッサンが近いですね。

フィーリィは、シャイニングでしょうかね。ギターノもいい感じかなと。

ルナは、ブレイズかテキサス……テキサスの感じですねぇ。

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「これは提案なのですが、少し過激な発言になりますが良いでしょうか?」


 フィーリィは皆を見回して、そう言った。

 思慮深く、冷静な発言をしてきたフィーリィの口から、前置きとしてそう言うという事はよっぽどのことなのであろう。

 四人はしっかりと、フィーリィを見つめて頷いて見せた。

 それを確認したフィーリィは火薬に火を投げ込む様な発言を口にしたのだった。


「皆さんが異存なければ、私たち一党パーティはアイルさんのハーレム扱いとしましょう。」


 バーバラは目を丸く、ピッピは『へ!?』と口にし、ルナは顔を真っ赤にして、アイルは目を見開いた。

 その皆の反応を確認した上で、フィーリィは続きを口にする。


「アイルさんの目的は、幼なじみ二人を娶るために実績を上げることです。という事は、二人以上を娶っても問題はないとも言えます。私たちも、女である以上、いつかは結婚をし、子を成す必要があるでしょう。ですが、アイルさんの求める実績を上げた後であれば、そこに打算がついて回ります。」


「……名声を利用しようとしたり、金のためにとかってことか。確かにありえるねぇ。」


 フィーリィの爆弾発言の後の説明を聞いて、ピッピは顎に手を当ててうんうんと口にした。

 名声と金がある女性。しかも未婚。確かに引き手数多であろう。しかしながら、その名声を利用しようとしたり、金を手に入れるために彼女達ではなく、本当の理由は別で結婚を求められるやも知れない。十分にあり得ることであった。


「この一党を解散した後であれば、勿論問題はありません。それは各々の人生ですから。しかしながら、この一党を維持した上で人間関係で問題となり易い”恋愛”を解消する事ができる、ほぼ最適解が私たち全員がアイルのハーレムの一員になることなのです。特に他の冒険者からのアプローチに対して、男女関係にあると言う事で断る口実にできます。」


 皆が改めて、フィーリィの目をしっかりと見る。その瞳は知性を示す輝きを見せており、暴走しているわけではないようだ。


「……また、下世話な話にはなりますが、皆さんにも性欲はあると思います。特にルナは時期が来たら否応がないくらいのものなはずです。そう言った時に、解消するのはどうするのか。娼館もありでしょう。ですが、病いや、娼館へのめり込むという危険性があります。勿論、私たちだけで処理したからと言って、病いにならないとは言えません。それでも、可能性は減るはずです。」


 フィーリィの指摘は確かに考えられるものであった。

 娼館は、不特定多数の人が利用することにより、病いに罹ることがあり得た。それは、娼館側、客側、どちらが万全を期そうとも、絶対はあり得なかった。その為、神殿などで病いを治すためにお布施をして、治してもらう者が絶える事はないのだ。


「我は、フィーリィの提案に乗っても良いと思っておる。正直言って、アイルの様な性分を持った男は稀じゃろう。近くで知っておるからこそ、他の男と会った時に比べてしまう。アイルと同じか、それ以上の者を求めてしまう。……人とはそんなものじゃ。それならば、アイルの正室とは言わん。側室として一緒に居った方が心地よい。それにじゃ。幼なじみ二人を娶るための実績を上げるのであれば、十分有望株じゃしな!」


 バーバラはニッカリと笑みを浮かべて口にした。

 それを見たピッピは毒気を抜かれた様に苦笑いを浮かべた後、続けて口を開いた。


「……まぁ、正直、アイルは王子様みたいなもんだろ?そんな奴に、あたしが一緒に居させてって言うのは場違いかも知れない。でも、もしも、あたしが居ても良いなら、あたしもアイルが良いな。めかけでもいいからさ。」


「ボクはアイルが受け入れてくれるなら、お願いをしたいんだ。フィーリィが言ってたけれども、ボク達”獣人族”は子作りをする周期があって、その時期の際は抑えることも難しいんだ。張型とかを使って慰めることはできるけれども、一番確実なのは異性と行為を行う事だから……。できれば、アイルが良いんだ。ダメ、かな?」


 ピッピは自分がそこまでの立場ではないと思っており、普段の朗らかさとは違って、恐る恐る確認をする様な語り口調になっていた。それに対してルナは、自身の種族としての特性を理解している事と、好意を持っている為か、ストレートに希望を伝えていた。


「発案をした私自身も、勿論望んでいます。自慢をする様な言い方になってしまいますが、殿方好きする容貌であると思っています。バーバラに声をかけられるまでは、頻繁に誘われていましたから。アイルのハーレムの一員になれるのであれば、私から相手を探す必要はありませんし、他の者になびくつもりはありません。それに、私たちがハーレムの一員になることで、アイルの目的を達成した後、その環境を維持するための人材としても役に立てると思いますよ?婚姻をし、一つの家となる事で盛り立てていく。貴族とはそう言うものでしょう?」


 フィーリィが最後にアイルに向かって意思を伝えた。

 アイルの目的を達成するためには、実績を上げて貴族と成らねばならない。そして、婚姻をし一つの家と成る事で、その家を盛り立てて行くのが女の求められる役割でもある。

 その点では、フィーリィの言っている事は商家や貴族家として、あながち間違ってはいないと言える。

 四人の意見は出た。後は、アイル自身の答えである。

 四人の瞳を一度ずつ確りと見つめる。そして瞑目し、口を開いた。


「……まず、幼なじみについてだが…多分、受け入れてくれると思う。二人の居る部族と母の部族は、強い戦士が複数の女性を養うという事はステータスなんだ。言うならば、俺が甲斐性を示していれば、二人は受け入れはすれども拒否はしないだろう。」


 そう口にすると、手元にあった盃をあおる。中に入っていたエールがゴクリ、ゴクリと喉を下っていくのが見て取れる。

 カンっと音を立てて盃を置くと、続きを口にする。


「……実質一週間程だ。それで、皆は決めて良いのか?俺の目的と皆の打算があるとは言えども、そう、俺よりも良い男……”両性具有”ではない男がいるはずだ。……それでも、俺のハーレムとなるという事なら、俺は精一杯平等に愛そう。」


 悩んでいるのだろう。アイルはそう口にした。

 二重の意味での”半端者”。それが彼女に迷いをもたらしていた。

 そのアイルの迷いに対して、「なんじゃそんなことか」とバーバラが笑い飛ばした。


「お主も分かっておろう。女は殆ど相手を選べん。恋焦がれて、告白して、結ばれる。そんな事、夢物語よ。それなら、今、手が届く所に相当な有望株があるなら、それを選ぶじゃろう?なにせ、大貴族家の一員として、そして魔術師として、武道家として知識と技術を積んだ者なぞ、そう見つからんわ!」


「しかし、”両性具有”が子を作れるかわからないんだぞ!?」


「子なぞ作れなければ、お主の実家や寄親よりおやに養子縁組を相談すれば良いじゃろう。しかも、どちらかから養子を貰った上で、もう片方から嫁を貰えば、寄親と実家の関係が繋がる。そうとなれば、断ることはあるまい。我は、勿論いつかは子が欲しいとは思うが、それが絶対というわけではない。それに実家であれば、工房の人脈強化の為に嫁に出される。相手が名だけの男やもしれん。もしくは断然年配の…爺とかもあるやもしれんな?それでも、家の繁栄の為に嫁ぐ。我の、令嬢としての役割よ。」


 手酌にて、盃にエールを注ぎ、一気に仰ぎ呑む。カーッという声を上げながら、盃を机に置いた。


「……あたしは、オマケで良いぜ?元とは言え、お貴族様の側室、妾なんて釣り合いが取れなさ過ぎるからさ。」


「……ピッピ。あなたは、この一党の仲間をいつも気遣って、雰囲気を良くするために朗らかにしているのを俺は知っている。その炎のように赤い髪も、つぶらな瞳も、笑うとちらりと覗く八重歯も代え難いほど素敵だ。……俺は、平等に愛すると誓う。そう、自分を卑下しないでくれ。」


 ピッピの言葉に、アイルは瞳を確りと見つめながら、彼女の良いところを述べていく。そして、笑顔を向けた。

 それを聞いていたピッピは顔を、アイルが例えた自身の髪のように赤く染め、うつむいてしまった。

 バーバラはそれを見ていて、つい溜息を吐き出す。


「……ちょっと早まったかのぉ?フィーリィ?」


「好ましいと思いますよ。アイルは、私達を平等に愛すると宣言した上で、ピッピの良い点を内と外、両面から伝えました。これを維持すると言うことでしょう。覚悟を決めたということだと思いますよ。」


「……ボクも、良いところ教えて欲しいな…。」


「…後で、アイルに教えて貰うと良い。機会はいくらでもあろうよ。」


「そうですよ、ルナ。今はピッピに譲ってあげてください。」


「……はい!」


 ルナが、自身の耳としっぽを期待しているとばかりに動かしている。それを見て、二人は笑みをこぼす。なんと可愛らしい裏表のない笑顔だろうか。それ故に、戦女神の寵愛を受けるのであろうと考えていると、部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。


「何用じゃ?」


「宿の従業員でございます。風呂の支度ができましたので、風呂場の鍵をお渡しに参りました。入室させていただいても宜しいでしょうか?」


「よかろう。入室を許可する。」


 宿の従業員が扉を開けて、中に入り一礼をする。そして、座っているバーバラに近づき再度一礼をし、鍵を恭しく差し出す。それを見たバーバラはその鍵を丁寧に受け取る。従業員は身体をお越し、皆に向かって場所の説明をする。


「お客様。今しがた風呂の準備が整いましてございます。場所は一階食堂の奥の通路の先にございます。今お渡ししましたのは入り口の鍵と、貴重品をしまっておくチェストの鍵となります。どうぞ、ごゆるりと。」


 そう言って、再度一礼をし、部屋を出ていく。ここの宿屋の一番高いサービスは風呂である。そのため、風呂を利用するとしたバーバラ達は一番の顧客でもあったのだ。

「さて!」と、声を上げてバーバラが立ち上がった。皆の顔を見回して、一言口にする。そう、満面の笑みで。


「皆で風呂に入るぞ!」

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