胴体はレイアウトが大事?(4)

操縦席コクピット対消滅炉ジェネレータの配置は決まりましたけど、それだけではないんですよね?」

 二つで終わりだとは思えません。

「まだ大事な機器があるの。制御部なの」

「おお、肝心な頭脳を忘れていました」


 どれだけ機構が簡単であっても複雑に組まれていても、それらを制御するシステムがないといけません。操縦者が頭脳といえば頭脳なんですが、全ての操作を負担するのは不可能でしょう。普通は補助するシステムを搭載します。


「人体でいえば脳なの。できればこれもジェネレータから離したいの」

 重要なパーツですもんね。

『コクピットがかなりのスペースを奪っていますが、胸部背面側に搭載できなくもありませんね』

「それがベストなの。制御部の機器の配置をいじっていいから詰めこむの」

『試案を上げます。ご確認ください』


 3Dモデルに模擬的なコクピットブロックが設けられ、囲うように制御部が配置されていきます。いくつかの案が試行されていくうちにギナが途中で止めました。


「有機コンピュータをコクピットの真裏に配置する方向でいくの」

 彼女の指示で試案が限定されました。

『主要パーツである有機コンピュータをコクピット裏に配置します。重装甲内部ですので破損を免れる可能性が上がります』

「メンテナンス性も良くなるの」

『コクピットブロック奥にもメンテナンスハッチを設けるのであるな』

 とんとん拍子に進んでいますね。

『この試案が順当かと思われます』

「スペース計算はそれでいいの。詰めるの」

『了承いたしました』


 これで主要パーツは入ったようです。真ん中が空いていますが、空というわけにはいかないでしょう。


「そこにはジェルタンクを入れるの」

 ぼくが考えを明かすと当たり前のように答えてきます。

『まだ腰の可動機構を組みこまなければいけません』

「そうだ。腰って意外と動きますね。全方位に曲がるし捻じれもするし意外と大変なのではないですか?」

「そうでもないの。肩や腕と違ってスペースがあるから難しくないの」

 ギナはそう言って、異なる3Dモデルを表示させました。

「この六角組シリンダヘックスシステムを組みこむの。捻じれまで全て動作可能なはずなの」

腰部ウエストの装甲を、電離界面を応用した複層構造にいたします』

「許可するの」

『動作可能という計算結果です』


 ギナ曰く、六角組シリンダヘックスシステムは前腕部に組みこもうと考案したのだそうです。しかし、結構スペースを必要とするので廃案にしたのを腰部の駆動機として温めておいて正解みたいですね。


「色々と考えておいて損はないの」

「ですね。今日のぼくはちっとも役に立っていなかった気もしますけど」

「そんな日もあるのー」


 彼女の笑顔が見られるのなら不満はありません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る