第2話 お出かけ日和

……んん、朝だ……えーっと時間は……八時かぁ。起きよう、今日はお出かけだ。楽しい楽しいお出かけだ。

 レンくんはまだ気持ちよさそうに眠ってる。起こさないようにそっと起き抜けて……よし、朝ごはんの準備、準備。エプロンつけてっと。

 さてさてメニューはシンプルに。卵を割って生クリームちょっと入れて〜軽めに火を通せば……はい、スクランブルエッグの出来上がり。ソーセージも焼いて、トースターに食パンをセット。後は焼き上がりを待つだけの簡単な朝ごはんだ。

 と……?

「おはよう〜、ご主人様ぁ」

「ふふ、おはよう、レンくん」

 朝ごはんの香りにつられてか寝ぼけ眼で天使が起きてきた。朝の一発目からもう可愛い。ピョコピョコはねた寝グセと肩から半分落ちたシャツ、それに萌え袖で目をコシコシしながら椅子で左右に少し揺れてるんだからもう犯罪的。

「レンくん、朝ごはん食べる?」

「うん〜。いただきます〜」

 焼き上がったパンを皿に乗せ、私もテーブルにつく。レンくんと一緒のゆったりモーニングタイムの始まり始まり〜。

 それにしてもレンくんは美味しそうに食べるなぁ。作った甲斐があるよね!


 さて、食べ終えたらお出かけ準備。レンくんを着替えさせて、私もナチュラルにメイク。レンくんの格好は薄手のゆるゆる白パーカにゆったりしたハーフパンツだ。何故ゆるめかというと尻尾を出さないといけないからである! 最初は隠してたんだけどレンくんが窮屈そうにしてたのと別段見られても構わないということに気付いたからだ。むしろこの可愛い可愛いレンくんを見てほしい。

「それじゃ、行こっか!」

「うん!」

 今日はショッピングモールへレッツゴー!


――


「よーし、ついたー」

「暑かったね、お姉ちゃん」

「だねー。まずはアイスでも食べる?」

「食べるー!」

 暑い中、近場の大きなショッピングモールにやってきた。アイスと聞いてレンくんはニッコニコだ。可愛いなぁ。日差しより眩しいよー!

 ちなみに家の外では私のことをレンくんは「お姉ちゃん」と呼ぶ。流石に外でご主人様と呼ばせるわけにはいかないからだ。お姉ちゃん呼びもなかなか犯罪的だけどね。

「レンくんは何味がいい?」

「んーっとね、パチパチするアイス!」

「はは、好きだねレンくん。……すみませーん、『パチパチシャワー』と『ヘーゼルナッツ』下さい」

 店先で二つ注文する。レンくんはこのアイスクリーム屋さんのパチパチするアイスが大好きなのだ。受け取ってからベンチに座って食べる。レンくんは少しづつペロペロしているがこれがまた可愛い! 大天使!

 っと、レンくんに見惚れていたらアイスが溶けてきた。急いで食べないと。


「美味しかったね〜」

「うん! 次は何するの?」

「そうだね〜、お洋服見にいこうか」

「はーい!」

 ぬふふ、これが楽しみなんだよなぁ。色んなお店にいってレンくんを着替えさせて回る。男物も似合うけどレンくんは女の子の服装がよーくマッチするのだ!

 そして試着していると案の定店員さんからは驚きの声があがる。

「えーっ! この子、男の子なんですか!?」

「そうなんです! 可愛いでしょ?」

「女の子でもこの着こなしは難しいんです……それをいとも簡単に……」

「うにゅう……」

 可愛いと言われてちょっと赤くなるレンくんもまた可愛い。もちろん服はお買い上げだ。私の服なんかどうでもいいけどレンくんの服にはトコトン注ぎ込む。ドレスアップしなければ勿体無いのだ! 私のお給料はレンくんのためにある! 今の仕事はブラックだけどお給料だけは良いのである。


「あー疲れたぁ」

「ボクも疲れたぁ」

 色々服やら小物やらアクセサリーを見て回ってたらもう夕方、お昼を食べるのも忘れてお買い物してた……

「お腹すいたね〜。何食べたい?」

「うーんと、ボク、ハンバーグ食べたい!」

「そっかぁ。ならレストラン行こうね〜」

「はーい!」

 お次はファミレスだ。休日ということもあってなかなか賑わっている。少し列で待って二人がけの席に着いた。

「えーっと、あ、あった。これ食べたい!」

「ふむふむ、『デラックスラージハンバーグ』かぁ。いいよ〜。これ、好きだもんね」

「えへへ」

「すみませーん、『デラックスラージハンバーグ』と『ジェノベーゼ』下さい」

 注文してレンくんと今日のお買い物の話をしながら料理がくるのを待つ。レンくんは色々な服を着ることに抵抗がなくて、むしろ積極的にお着替えしてくれる。

 曰く、私が幸せそうに見ているから、だそうだ。あー! 嬉しすぎてもうどうにかなりそう!

 とまあ、暫くするうちに料理が届いた。そしてなんとレンくんの食べるハンバーグは500gである! 成人男性でもなかなか食べきるのは難しいであろう量をスイスイと幸せそうに食べていく。一体その細い体のどこに入っていくのだろうか?

「んん〜、おいし〜」

「なによりなにより。あ、ソースついてるよ、レンくん」

「んぅ?」

 おしぼりでレンくんの口元を拭う。食べているときのレンくんはこの上なく幸せそうだ。

 そしてなんやかんやしているうちに二人とも完食。レンくんはちょっと眠そう。お会計して、荷物持って、レンくんおんぶして……今日はタクシーで帰ろう。


 楽しい一日はあっと言う間だなぁ。 


 


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