僕たちのアクタージュ

 そして、集英社 週刊少年ジャンプ編集部は僕たちからアクタージュのすべてを奪った。


 連載は終了した。

 刊行予定の単行本13巻は発売中止となった。

 1巻から12巻までの単行本は回収され絶版となった。

 電子書籍は8月17日をもって配信が終了した。

 発売予定のカレンダーは発売中止となった。

 読者プレゼントのグッズは代替品となった。

 配布予定のDVDーBOXは企画自体が終了した。

 その他のグッズも配布予定のものは中止された。

 

 8月17日のその発表をした後、少年ジャンプ編集部は「以上」という言葉でそれを締めくくった。



 僕たちのアクタージュは存在を抹消された。

 あとには、ツイッターの悲鳴と置き去りにされた僕たちだけが残された。



 単行本化されていない分の少年ジャンプの切り抜きは手に入れることができたけれど、今の僕には読む勇気は、なかった。



 覚えておくがいい。


 ここに悲しみに暮れる僕たちがいることを。


 悲鳴を上げている僕たちがいることを。


 少年ジャンプ編集部は、アクタージュという作品を抹消したとともに、アクタージュ という作品を愛していた僕たちの存在を、捨てたのだ。


 

 覚えておくがいい。


「アクタージュ act-age」だった。


「ワンピース」ではなかった。


「HUNTERxHUNTER」ではなかった。


「アクタージュ act-age」だった。



覚えておくがいい。


「ワンピース」かもしれなかった。


「HUNTERxHUNTER」かもしれなかった。


「アクタージュ act-age」の原作者は、聖人君子ではなかった。


「ワンピース」の作者は、今のところ、聖人君子だから読み続けていられるのだ。


「HUNTERxHUNTER」の作者は、聖人君子だと思われているから、続きを待ち続けることができるのだ。



 覚えておくがいい。


 作者が聖人君子でなかったとき、その作品のファンは、第二のアクタージュの悲劇の犠牲者となる。



 単行本を刊行する決断をするのも、絶版を決定するのも、少年ジャンプ編集部である。それは原作者が不祥事を起こしたこととは、関係がない。あるとすれば、作画担当の宇佐崎先生の意向を最大限尊重することである。


 少年ジャンプ編集部は僕たちが、「アクタージュ act-age」という作品を愛していた罪に対する罰として、僕たちから「アクタージュ」のすべてを奪い、最後に行き場を失った作品に対する僕たちの愛だけが残った。


















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「アクタージュ act-age」の幕が下りるまで 赤キトーカ @akaitohma

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