妹と結婚したいんだけど、諦めてたら異世界転生してた

不燃ごみ

第1話 キスごっこ

「うちら全然似てないよね」


「まあね」


妹とはよくそういう話をした。


「でも、落ちつくわ」そういってキスしてしまう。妹からは人類史上最高の甘い香りが漂ってくる。


ちなみに、妹は十四でそれなりに出るとこ出てきて、女のコとしての魅力が十分だった。


それなのに十五の俺はヒョロガリで、太宰治読んでる暗いやつだった。それなのに妹は俺を拒絶しない。


俺たちが同じ遺伝子を共有するからだ。体臭が通じ合うんだろう。


二人でキスするのは、お互いの緊張を解くためだった。つまりキスごっこだ。


何せ俺達の両親は妹が生まれてすぐ離婚していた。


再会したのは、8年後の妹を育てていた父が死んだからだ。


だからキスごっこでお互いの距離をなんとか縮めたかったのだ。


ある日の秋晴れの夕暮れ時に、海沿いの自転車道路を散歩していた。


「キスごっこやめたほうがいいよね」


妹が平気な口調で言うので俺は傷つく。


「お前がやろうって言って始めたのに」


「兄妹でキスしてたらやばいっしょ」


「別に軽くだからいいっしょ」


確かに妹と本気のキスは出来なかった。フランス人が挨拶やるみたいな軽いやつだ。小鳥の挨拶程度のやつをやっている。


フランス人ってのは、本当にエッチだと思う。僕はエッチなフランス人に憎しみと尊敬を同時に感じる。


「あれえええ、海からなんかやってくるよ」妹が指差した。


日本海の暗い波を巻き上げながら、竜巻みたいのがこっちに向かってくる。







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妹と結婚したいんだけど、諦めてたら異世界転生してた 不燃ごみ @doujjimayu

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