念写

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、あなたはどの能力が欲しい?」


鏡の中の女性に、問われる。


彼女は、僕ではない。

僕は、男だ。

女性ではない。


でも、鏡の中の女性は、他人の気がしない。

まるで、僕自身であるかのように・・・


彼女は、続けた。


「ねえ、どの能力が欲しい?」

僕は、尋ねた。


「能力とは?どうして、僕の前に現れた?」

彼女は、続ける。


「鏡の中の世界は、全てが逆の世界。そう、性別も」

「性別も?」

「うん。つまり鏡の世界では、あなたは女性。それが、私」


彼女が現れたのは、ある日突然だった。


いつものように、顔を洗っていたら、突然出てきた。


「能力というのは、エスパーの能力」

「エスパーの?」

「うん。鏡の中の、つまりこちらでは、皆がエスパー能力を持っている。」

「君の?」

「うん。そのうちのひとつを、あなたに授ける」

「何のために?」

「言わなくても、わかるでしょ?」


自分の未来は、自分で切り開く物。

でも、自力ではそれも、限界がある。

なので、何かに頼りたくなるのも、本音。


その力をくれると言うのか?


「でも、どうして?」

「あなたは私。私はあなた。あなたの未来は私の未来」


それって・・・

いや、やめておこう。


「わかったよ。ひとつ頼む」

僕は、彼女に告げた。


「了解。何の力が欲しい?」

「僕が、ほしい力は・・・」


決まっていた。

もし、エスパーの力が手に入るのなら、欲しい力があった。

僕は、それを授けてもらった。


予知?

違う。

未来はわからないほうがいい。


テレキネシス?

違う。

体が鈍る。


僕が授けてもらった、エスパーの力。

それは・・・


念写・・・


念写をお願いした。


僕は、生まれつき病弱で、殆ど家で生活をしている。


友達との思い出はない。

なので、せめて写真の中だけも、みんなといたい。


せめて、写真に自分の姿を、焼きつけておきたい。


過去は変えられない。

でも、修正は多少は可能・・・


そうすれば、未来も見えてくる。


鏡の中の、女性の僕は、元気でよかった。


今度会えたら、何かを授けよう。

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念写 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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