六月十二日
よくある腫瘍だそうで、小さければ放置もできるが、症状が出るようだと何らかの対策を打たなければならない、という説明を受けた。
「最近生理重いなって、思ってませんでした?」
医師の問いに、彼女は渋々といった様子で頷いた。
治療には、薬が使われたり、あるいは手術で取ってしまう場合もあるらしく、根本的な改善を図りたいのであれば、やはり手術が必要になるらしい。
「いちばん確実なのは、子宮丸ごと取っちゃうことですね」
医師は、随分とざっくばらんに話す人だった。
「ただ、これは今後お子さんを授かりたいかどうかとか、そういう話にもなるので。腫瘍だけ取るという方法もあるんですが、小さい腫瘍が隠れていて、後々になって再発ってこともあるんで」
閉経が近い年齢になると、これから縮むだけの腫瘍だと判断できれば放置したり、子宮ごと取ってしまうことも考えるのだそうだ。それから、と医師は続けた。
「場所的に、不妊のリスクが上がっているのは、これは今後の治療法に関わらず、ご留意いただくしかないですね」
彼女の顔が曇った。それは俺にとっては意外なことだった。
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