一番近くて、一番遠い場所②




これで会話が途切れたかと思いきや、兄は溜め息交じりで呟いた。



「いや、終わらせないから」

「え、何で? 今折角いい突っ込みで終わったじゃん!」

「俺のドキドキを返してくれよ」

「そ、そっちこそ! お兄ちゃんがあんなときめくことを言うから、不覚にも、ドキドキしちゃったじゃん・・・」


そう言って視線をそらす妹に、兄も直視できなくなる。


「・・・お前、意外とピュアなんだな」

「なッ・・・! お、お兄ちゃんこそ、普段は見せないけどとても優しいんだね」

「・・・」

「・・・」


二人して顔を真っ赤にし、同時に黙り込んだ。 気まずさを打ち消すよう、兄は大きな音を立て傘を開く。


「・・・帰るか」

「・・・うん。 その、お兄ちゃんの傘に、入ってもいいの?」

「当たり前だろ? そのつもりで外へ出たんだから」

「・・・ありがとう」


そう言って、近付いた妹。 開いた隙間を見ながら、兄は顔を赤くし表情を歪める。


「どうしてそんなギリギリのところにいるんだよ、もっとこっちへ来い。 濡れちまったら一緒に入る意味がないだろ」

「ッ、うん!」


こうして兄妹の禁断の愛が、育まれていくことになるのだった。





                                                                    -TRUE END-



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一番近くて、一番遠い場所 ゆーり。 @koigokoro

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