　『くっ…………』

　首筋に刀の切っ先を突き付けられた女性は忌々しげに俺を睨み付けて来る。

「とりあえず、この近くに村か町か何かありませんかね？」

　出来るだけ優しく語り掛けたが、女性は睨むだけで答えてくれなかった。

　どうやら、答えてくれる気はないらしい。

「そうですか…………」

　俺はスキルを解除すると徐に歩き出す。

　とりあえず、手当たり次第歩いてみるか。

　それにしても、アイテムボックスって奴はほんと便利だな…………。

　念じれば、噂に聞く異空間って所に何でもかんでも収納出来る。

　おかげで、手ぶらで色んな所を歩けるし、召喚される前にコンビニで買っておいた肉まんもホカホカだ。

　小腹空いたし、食べよう。

　うん。

『我は…………絶対に諦めんからな…………』

「はいはい…………。

　ご自由にどうぞ…………」

　俺は肉まんを頬張りながら、ヒラヒラと手を振って女性の前から立ち去っていった。

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