第2話(???視点)

ガタン

 

「お前鬱陶しんだよ!!」

「なんでいんの?目障りだからさっさと消えてくれない?」

「臭いんだけど。ちゃんと髪洗ってるの?」

「近寄らないでくれる?匂い移ったりするのいやなんだよえ~。」


 クスクス

 ニヤニヤ



 目の前の友達が音がしたほうをちらりと見た。

『はー、朝っぱらからよくやるよ。』

って思ってるんだろうな。絶対。


 こんにちは!私は目の前でいじめ集団にあきれ顔を送っている人の友達です。私たちは小さいころからの付き合いで、幼馴染だよ!そして、唯一の親友です!

 言っててむなしくないかって?仕方ないじゃん!あの子私以外怖がってあまり友達作ろうとしないんっだよ!本当はもっと友達作ったほうがいいって思うんだよ!思ってるんだけど、友達を作りたがらない原因を作っちゃったの私だから何にも言えないんだよ!



 私たちが仲良くなったのは、4歳の時だ。いじめられていた私を彼女がかばったのがきっかけだ。彼女がいじめてた子たちを追い払ってくれたから、私へのいじめはなくなった。けどその代わり、彼女へのいじめが始まった。

 いじめが始まってから、彼女の友達はこの所から離れていった。大人に助けを求めても、何も解決しなかった。逆に逆上した相手からのいじめがヒートアップしていった。それが小学校を卒業するまで、毎年毎年繰り返された。彼女は段々心を閉ざすようになった。そしてっ頃を開いた人間以外は、自分にとってどうでもいい存在だと認識するようになってしまった。

 彼女はいじめを私に相談しなかった。多分このことで維持をかばったら、また私がいじめの対象になるって幼いながらに悟ったんだと思う。優しいと思った。でも同時にやるせない気持ちになった。


 助けないの?って聞いても答えはたぶん助けないだと思う。だって彼女がいじめられてる子をかばえば、自分がいじめられる可能性が高くなる。そして一緒にいる私も巻き込まれるかもしれないからだ。彼女は心を開いた人間にはとても優しい。でも時々そのことがどうしようもない気持ちになる。

 ねぇ。どうやったらあなたに恩返しができる?幼くて何もできずにただいじめられ続けてた私に希望をくれた優しいあなたに、どうすれば・・・。


 私はいつも思う。でもこの気持ちは彼女には内緒。だって彼女は優しいから自分のせいで私が悩んだたら、彼女はきっと苦しむ。



「あ、あの!い、一緒に帰らない?」

 次の日、学校から一緒に帰ってるとき後ろから声がした。振り返って見ると、そこには最近いじめのターゲットにされてる同じクラスの子がいた。私たちは、学校から少し離れたところにいる。私はどっちでもよかったから、一緒に3人で帰った。

 途中で別れてから、私は彼女について隣を歩く親友に聞いてみた。そしたら、昨日の放課後の出来事を話してくれた。昨日彼女は先生につかまってしまって、帰りは別々だったのだ。親友の話を聞いて少し驚いた。だって彼女は来るもの拒まず去る者追わずの、何事にもあまり関心を持たない性格だ。そして、厄介ごとは徹底して避けようとするのだ。いじめなんて特に関わりたくないであろう厄介ごとだ。


 きっと過去の自分と私を重ね合わせたんだと思う。私は頬を緩ませた。

 ほんと、あなたは自分を残酷な人間だっていうけれど優しいよ。だって私やあの子は、あなたにこんなにも救われているんだから。


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