エピローグ 

ほしさん、お目覚めですか?』

看護師に声を掛けられ病院のベッドで目を覚ます。

過去に何度かこんなことがあったとデジャヴを感じるのだが、それはいつどこでだったろうか?

思い出そうとしていると看護師がまた話しかけてきた。

『お手柄でしたね。

 あなたが助けた女の子がお礼を言いたいとお見えですよ。

 通しますね。』


しばらくすると、僕が突き飛ばした女の子が現れた。

『星さん、ですよね?

 わたし、木崎きさき まいといいます。

 今日は助けていただいてありがとうございます。』

僕はなるべく平気なふりをよそおおうとして右手を上げようとしたのだが失敗した。

『無理しないでくださいね。

 普通だったら隕石が当たって生きているなんてないですから。』


僕は脂汗あぶらあせをかきつつうなずき、疑問に思っていることを口にした。

『あの、隕石が落ちた時もう一人いましたよね。

 おじいさんというか、おじさんというか。

 あの人はどうしてます?』


すると女の子は少し困った顔をしながらこう言う。

『それが、いなくなっちゃったらしいんです。

 病院まで救急車で運ばれたらしいんですけど、救急隊員と病院の人が一瞬目を離したすきにいなくなったとかで。』


それを聞いて僕は、あの人はやっぱり神だったのかと考え始めた。

でも、神にしては能力が無さすぎるよな。

未来からの転生者か、はたまた予知に優れた魔法使いか。

ひょっとしたら未来から来た自分自身?

そんな結論の出ない思考をしていると彼女がまた話しかけてきた。


『あの、お礼になにかできることはありますか?

 なんでもいいんです。

 命を救っていただいたので。』

僕はそれを聞いて少し考えたのだが、この言葉を言わなくてはならない気がした。


『僕と。。。僕と結婚してください。』


すると彼女は少しびっくりした顔をした後、笑顔を見せ、そのまま涙を流し始めた。


『あれ、。。。あれ、なんか私おかしくなっちゃったみたいです。

 なんだか古いとても大事な約束を守ってもらったような、そんな感じがします。

 ごめんなさい、なに言ってるかわかんないですよね。

 でも、とってもうれしいです。』



僕には転生や魔法が存在するかどうかはわからない。

それでも彼女との出会いは神がどこかに存在すると信じさせるのに充分だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

理想の転生 ~神っぽい存在との対話~ ロン・イーラン @dragon_1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ