第9話 勝利の味はまず味

よいしょっ!!


「グギャ……! ヒャヒャ!」

「悪いねゴブリンくんん……! 」

やり方はよく知らないが、昔見たやり方を真似て手を大きく動かし、遠心力をかけ散漫に近づいてくるゴブリン目掛け振りかぶった。


「グヒ…ギャー!! 」

「うぇ……悲鳴が生々しい……」

見事に勢いつけた一撃を与えたは良いものの……耳障りなゴブリンの悲鳴が心に痛む。



★★★


【ゴブリン】レベル2

HP 18


★★★


………ダメージは効いてる、ね? よし、もう悲鳴はきかないものとする、マル!


「そぉれ!」

「グ…!」

「ほい! そい! へい! 」

「ギャ…! グ……!グギャー!!」

「あいた! 」

当てることに集中しすぎてゴブリンの振り回す棒にあたってしまったぜ……自分のHPどこで見るんやろ。


まず、メニュー開くやろ? そしてステータスで、えぇーと……名前の横にあった。


★★★

【レオにゃん】 HP 14 MP 0

★★★


………ちょっと痛いね、


「レオにゃんさん危ない!」

「ギャッ……」

「へ?」

ミーナさんの慌てた声に顔をあげゴブリンを見れば、細長い頭に一本の矢が刺さっている。


ゴブリンはピクリと一瞬震えると膝から崩れ落ちると、紫の光に包まれ消えた。


「……ん?」

『レベルが2にあがりました』

レベル?


「はぁ、はぁ……ふう、怖かったですね……大丈夫ですか?! 」

「ん?」

走りよってくるミーナとゴブリンの消えた場所を見比べ、上手く実感の沸いてない私は首を傾げた。



「……レオにゃんさん?」

「んーと……ちょっと待ってね、思考が退化してる」

「どういう事ですか!?」


ちょっと待ってね。









★★★

【レオにゃん】レベル2

HP 35

MP 0

★★★


実感が……ない。


とりあえず死んだモンスターは消えてなくなるという事がわかった……うむ。




「……生々しいかったね、血の飛び散りとか悲鳴とか」

「やめてください思いだしちゃう……」

「ごめん……」

場所は変わり、地面から浮き出た岩に二人座った私とミーナさんのプチ振り返り会とは名ばかりの現状お通夜ムード。



「……これに慣れなきゃかぁ」

こう、叩いたときの生々しい感触とかがほんともう……言葉にできないやつ。


「これ皆やってるんだ……きつ」

「きっとこういうの上回る楽しさがあるって事だよ……」

「せめて、一ヶ月はやろ」

おっと……ミーナさんからログイン勢の予感。


「それじゃあ今日は日向ぼっこでもする?」

「名案ですね、そうしましょう……フレンド登録とかお願いできます?」

「いいよいいよ、たまにこうやってのんびりしよ」

フレンド……前の人に申請。


「届いた?」

液晶パネルのメニュー欄を開いたミーナさんか目を輝かせる。


「届きました~! えーと、今日はありがとうございました、……また遊んでくださいね? 」

「おーけー……それじゃ、傷心もかねて自然でも眺めて終わろっか」

「はいー」











2日目のプレイ終了、と……。
































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