おまけ 発想の経緯

 思考を巻き戻して、発想の経緯へ遡る。跳躍と誤りが必要である。


 同書によると、空間の量子には「反発する力」があり、それがビッグバウンスを引き起こしたという。「反発する力」は、量子が空間を保てないほどに密集すると、生まれるようだ。ビッグバウンスは、簡易的に、ビッグバンの別名と捉えればよい。不可逆性と、密集から離散へ向かうという点から、はじめ、熱は、空間の量子の持つ「反発する力」ではないかと疑った。疑問が生まれたのは、ブラックホールについて考えたときだ。

 質量が増えると、重力が大きくなり、周囲を吸い込む。吸い込めば密集するはずなのに、なお吸い込む。「反発する力」が、重力に負けている。

 質量とエネルギーは等価なのだ。質量が増えるとき、エネルギーも増えている。重力は、質量もエネルギーも密集させる。密集すると「反発する力」が起こる。しかし、熱は、不可逆的で、「反発する力」と同じ、密集から離散の方へ働くようにみえる。

 量子は質量であるとき引き合い、重力>反発する力、エネルギーであるとき反発する。重力<反発する力。

 密集すると反発する力を持つ。

 質量は密集するとエネルギーになる。反発する力を持つ。

 反発する力が重力に勝つと、質量はエネルギーになる。

 質量であるときは重力を作る。エネルギーであるときは熱を作り、重力を失う。

 質量が増えるとき、引力>斥力。熱が増えるとき、引力<斥力。

 熱エネルギーは引力を持たない。炎は自ら温度を増していく。

 質量とエネルギー、等価ではあるが、性質が反対。

 重力の斥力が熱。

 質量として密集し、エネルギーとして離散する。

 質量とエネルギーの等価には、減損がない。

 熱が何かへ伝わるとき、減損を起こす。

 熱は、重力子が運ぶ斥力である、と結論づけた。

 しかし、しっくりこない。


 重力子が、質量と熱へ引斥力を運ぶとすると、美しい対称性が得られない。

 質量には引力斥力として働くのに、エネルギーへは斥力としてだけ働く。

 そもそも、ゲージ粒子を飛ばして引力を与えることなどできるのか。

 質量が引力と斥力を受ければ、動けないはずだ。配列の外側へ引かれるときは緩衝されず、内側へ押されるときだけ緩衝してふるえるのか。

 重力子は存在しない、という学説を知る。

 空間の量子だけで説明できるのか。

 初期に、斥力のみで引力を作るにはどうしたらよいかと考えたことがあった。渦を巻けばよいのではないか。

 何本も立てられた赤い風車が同期してくるくる回る様を思い浮かべる。

 次いで、渦巻き銀河。渦をまくブラックホール。

 寝起きにぼんやりひらめく。 

 空間の量子が質量のみに作用する渦を巻いて、そこへ質量を落とし込み、エネルギーは、その影響を受けず、単純な濃度勾配に従って拡散する。

 質量体が外側へ引力も斥力も持たなければ、斥力を持つ空間の量子との間に、渦を作れるのではないか。そして抵抗もなく流されるのではないか。

 質量体を中心に渦を巻いて、空間の量子が密集し、密集することで、「反発する力」を強く発揮する。質量体を激しく振動させる。第一印象に戻った。それが、熱。


 恥を述べよう。ここに至ってはじめて、赤外線を知る。

 熱を、空間の量子だけで説明することは、難しい。

 質量体を振動させることができれば、そのエネルギーは全て、熱となる。


 ここで残す疑問は、斥力しか持たない空間の量子が、なぜ、質量体として、空間配列を保存できるのか。引力は、必要か? どこからくるのだろうか。


 渦理論にも疑問がある。太陽の周りを空間の量子が取り囲んでいるとき、太陽自身はどうやって空間に存在しているのか。

 質量体はどうやって空間に存在しているのか。

 空間の量子は質量と影響し合うのか。質量に空間と時間を与える。

 質量↑空間の量子↑重力↑時間ゆっくり、反発する力。

 速度が上がると時間が遅くなる。多くの空間の量子に触れると時間が遅くなる。

 宇宙空間では膨張し、質量体の周りでは収縮する。

 違う。

 質量体のなかで空間の量子が収縮している。

 質量は、空間の量子を持っている。

 質量が時空間を歪ませるのではない。質量が時空間の歪みなのだ。

 そのためにはどうしても、空間の量子を収縮させる力が、引力が必要だ。同時にそれは、質量が空間配列をつくるためにも必要な条件である。

 試しに、空間の量子の引力型を導入してみた。

 必要性が感じられない。

 強い力と電弱力に頼もう。

 まとめた内容が上記である。

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ループ量子重力理論における時間の必要性について~Hello, gravity~ 水辺無音 @muon09

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