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幸せな思い出に 夢現なまま 終われたなら

囚われの老人も おぼろげでいられたかもしれない

やっと得た平和の行方は 誰にも分からないように


急激に引き戻された現実

それとも やるせない思い出に引き込まれたのか

一瞬の覚醒が 老人を覚めさせた


「やめろ! やめろ!」

囚われの老人の怒号が 沸き立った

立つ意思のなかった足で 立ち上がって


しかし 僕は 弾き続けた

確信を持って 尚も 弾き続けた

悶え喘ぐ老人を 置き去りにして


踏み出した音は駆け上り 遂に 登り切った

「やめろ! やめてくれ!」

老人は 天を仰いで 絶叫した


持ち上げられた拳は 悲鳴を上げ

やり場なく 天を 叩いた

「もう やめてくれ!」

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