アクアレイン~人間とAIが住む都市

ソラ

プロローグ~幼い頃の思い出 1

 私の小さい頃、父はいなくなった。

 連れ去られてしまったのだ。

 研究のために――


 父がいなくなる前、毎日楽しく暮らしていた。お母さんは、病気で亡くなり、今は、3人で暮らしている。


 父、《水牧明夫みずまきあきお》は機械の修理や発明が得意で機械の修理屋していた。


 私も父の影響を受け手伝っていた。そのせいで友達は、1人もできず"機械"が友達だった。


 それは、父が連れ去られる日のことだった。その日は、私の誕生日…


「機械の修理出来たよ。お父さん。」

「よくできたな! えらいぞ! 千秋」

「えへへ…じゃあ! もっと機械直さないとね。」


 私は、父さんに褒められるのが大好きだった。


「千尋! どこにいるんだ?」

「二階にいるよ! 今、勉強中!」

「ご飯できたから降りてきなさい。」

「わかった。今…降りるよ」


 千尋は、私の姉で頭が良くてこの都市の中心部にある情報局に高校生で働くことが決まっている。夜、玄関に罠を仕掛けることが趣味だ。



 夜になり、私の誕生日パーティーが始まった。


「「千秋、誕生日おめでとう!」」

「わぁ~! すごい料理だね! 父さんありがとう!」

「腕をふるって作ったからな!」

「父さん何もしていないでしょ! ほとんど私が作ったんだよ!」

「そ…そうだったな。すまない」


 姉からのプレゼントは、罠を仕掛ける"ヒモ"をたくさん貰った。あまりうれしくないプレゼントだった。ツッコミもあって、楽しい誕生日パーティーも終わりに近づいてきた。

「千秋、プレゼントがあるんだ。」

「え?」

「やっと…完成したんだぞ! その名も”AI”だ」

「A…I…」

「千秋…友達が欲しいって言ってただろ?」

「言ってたけど…」

 口には出していないが、とても嬉しかった。

「早速、起動してみるからな!」


…起動中…起動中…


「これはだな…危険も察知できて、いろんなこともできるんだぞ!」


 父さんの説明は長々と続いた…。


「こんばんは、千秋様。私が、AIです。なんでも言ってください。」


 さーちゃんは、パソコンに顔のみ映って、人間のようにしゃべっている。


「"AI"じゃ…かわいくないから、今日から"さーちゃん"ってどう?」

「さーちゃん…ですか?」

「そう! 今日からさーちゃんだよ。」

「わかりました。今日から私をさーちゃんとお呼びください。」

「わかったならよろしい。よろしくね。さーちゃん!」

「はい…千秋様。」

「仲良くなるの早いね。千秋」


 父と姉は機械を起動してから5分で仲良くなったことにびっくりしていた。


 ピーピーピー


「なに…この音…」


「警告! 警告! 黒い覆面を被った5人の男達が、この家に入ろうとしています。」

「「「え?」」」


 冷静に言うさーちゃんにびっくりする以外に何も言えなかった。


「さーちゃん!何かいい方法ないの?」

「逃げるのみです。玄関は、罠が仕掛けられているので、2階に避難してください。」

「ワナ?」

「念のためだよ。 念のため。」


 姉は、父さんが狙われていることを知っていて、前から罠を仕掛けたのかもしれない。


「狙いは、私だ。ふたりは、2階へ行け! 父さんも後から行く。千尋、千秋を頼む。」

「…わかった。父さんも気をつけて。」

「父さん! 父さん! いか…な…ん…んんん!」


 姉は、冷静に返事をしていた。私は冷静でいられず、叫んでいたら口を押えられ、姉に引きずられながら2階に行った。


 2階では、下の階の様子がカメラで確認できる。私は、父さんの背中を見て嫌な予感がした。









 

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アクアレイン~人間とAIが住む都市 ソラ @natuki0209

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