epilogue

 流石に疲れてしまって、暫く船を漕いでいたが、彼の名前が思い出せないことに気付いた。久しぶりに兄に電話して挨拶の一つぐらいしておこうと思い、ついでに甥の名前を尋ねてみると、

「何を馬鹿なことを言ってるんだ。俺には娘しかいないぞ。」

と言われた。そんなはずはない、と思ったが、どう言う訳かさっきのことが夢の様な気もしてくるのである。

 しかし、釈然としない気持ちで電話を切り、部屋を見渡すとーーー

 安楽椅子が揺れている。



                   了

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安楽椅子が揺れた まき @maki_m

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