第41話 乗り過ごそう

「さて列車がくるまで後30分ほどか」


ナオキ「何でこんな早くに駅に行かないといけないんだよ?長老は見送りにこないぞ?」


「この長距離用の路線は帝都が始発の列車だからな、早く来て座る席を確保しないと4時間は最悪立ったままだぞ?」


ナオキ「あー……それはきついな、この列車はそんなに混むのか?」


「途中に観光地があるらしい、そこまで4時間かかる。そしてそこから1時間乗るみたいだ」


ナオキ「でも昼前には目的地に着くのか、意外と簡単に行けるんだなー」


「これから行くファデス地区はそんな列車の電力を供給する発電所が多数あり、他にも製造業を中心に工場が立ち並ぶシャペロン工業地帯に隣接する地区で住民の多くがシャペロン関係の人たちだそうだ」


ナオキ「そんなところに傭兵訓練所があるのか……何か意味でもあるんだろうか?」


「さあなー……っとそろそろだぞ」




俺とナオキはやってきた列車に乗り無事に席を確保することができた


列車は電気鉄道と呼ばれてるもので蒸気機関と比べて燃料の補給がいらないそうだ。電気鉄道は煙を出さないためトンネルの換気も不要なことから主要都市間は長距離でもコストをかけて電気鉄道が敷かれたらしい。




帝国の前身の旧国は魔物との大戦時代、蒸気機関を使っていたが大量の物資の長距離輸送は燃料の増大を意味し、むしろ列車の重量が燃料の分重くなり効率がすこぶる悪かったそうだ。


その上、列車の運行頻度の増加は都市に深刻な大気汚染を引き起こした


ただでさえ効率の悪い上、次々と問題が浮上し一時は補給が機能せず兵站線が崩壊したことまであるらしい


そこで帝財閥がシャペロン一体に工業地帯を建設し電気列車を開発したそうだ


…………なんてことをナオキに話していたら


ナオキ「ZZZZZZ………」


「寝たか……まあ朝早かったしな仕方ない俺も寝ようかな」


俺はつられるように寝た………早いものでもう観光地はとうに過ぎてしまっていた




???「次はシャペロン~シャペロン~お出口は左側です」


車掌と思われる声で目を覚ました


「……?ナオキ、起きてたのか?」


ナオキ「ん?ああ……ぎりぎりまで寝ているつもりなんだっただが…なんか雲?が凄くてな」


俺はナオキの目線の先を見ると薄茶色の雲に灰色の建物のが覆われていることに気づいた


「なんだありゃ?排気ガスか??」


ナオキ「だろうなー……あんな街に行かないとだめなのか???」


「……ちょっと離れたところで降りようか……」




俺とナオキはシャペロンを過ぎて少し進んだ市場などがある街に降りた


「ここは……大丈夫そうだな」


ナオキ「この町があの工場地帯の風上で助かったぜー」


そこはシャペロン工業地帯の西に位置するミンクスという街だった




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