第26話 濁流

ガラガラガラガラ 


足元が揺れながら徐々に沈んでゆくのを感じる


どうやらダムに仕掛けた爆弾を爆発させようだ


一度亀裂の入ったダムはその水圧で亀裂を広げ、さらにその亀裂の数が多いのか次々とダムが崩壊していく


(短期間で作られたダムだ、一度崩れればそのまま連鎖崩壊してしまうのは当然か……)


ナオキ「くそ!だめだ崩れる!!!」


俺はつるでナオキを手繰り寄せてダムに木の根を張る


(少しの間でいい、足場を固定してくれ)


「ナオキ!全力で飛んでくれ!!」


ナオキ「分かった!!いくぞおおおお!!!!」

俺がナオキにつかまると


ガラガラガラガラ ドドドドゴゴゴゴゴゴオオオ


地鳴りのような音とともにダムが完全に崩れた 間一髪で脱出した俺とナオキはダムの端から流れていく大量の汚水を呆然と見ていた


「ひどい匂いだ……」


ナオキ「ああ……」


しばらくそんなことを言って眺めているとダムの水が村に向かって流れていることを思い出した


ナオキ「しまった!この汚水は村に向かって流れてるはずだ」


「しまった!」


シカリとホウガはいつの間にかいなくなっていた


ダムの崩壊から数分後、俺とナオキは全力で森の中を走っていた


ダムの水は濁流となり、すさまじいスピードで崖に衝突をしては軌道を変え、確実に村に向かって流れていた


ナオキ「やばいやばいやばい!!!」


(ダムから遠ざかれば遠ざかるほど止めるのは困難だ!もう今から村民の非難は間に合わない 多少の水が行っても途中で区切るように止めるしかない!)


ナオキ「おい!もっと速く走れレイト!」


「ナオキ!もう間に合わない、ここで水を止めるぞ!被害を最小限にとどめるんだ!!」


ナオキ「でもどうする!」


「崖を崩せ!そしたら木の根を張って強度を上げて堤防を作る、それで無理なら流れの軌道を変えるぞ!」


ナオキ「よし!いくぞおおおお」


ナオキは急に止まると全力で剣に力を込めている。 同時に俺も周囲の木の根に全力で力を込める


ふとナオキの方を見ると


木々ですれてボロボロになった服の隙間から心臓とその付近の血管が赤く光っているように見えた


(なんだ?あれは心臓……だよな……?)


ナオキの剣は通常の10倍近い長さになっていた


ナオキ「何してる!もういけるぞ準備は良いか!?」


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