第15話 赤髪の狩り人

翌日、再び水辺や畑で微生物を探した

(これから水と土が浄化されて収穫量が上がってもまだまだ課題は多い。収穫もすぐできるわけではないし、何より働き手が少ない。)

私はふと井戸の出来事を思い出す

(村の若者であるナオキはまだ16くらいか、井戸の件で集まってきた村人は最初の数人こそ男性だったが野次馬はほとんど女性で、ここ最近見た村人はナオキと長老以外、ほとんどが女性だった。そもそもナオキは同い年の男の友人はいるのだろうか?うーん………あの数人の男は銃とか持ってたから狩りとかに行ってそうだけど……)

この村はどうなっているのか、そんな疑問を抱えながら目的の生物を二日かけて探し出し、試作に入る。

そして翌日、試作がわりと簡単に終わったので試食をしてもらおうと長老の宅に向かった

「すいませーん、長老―?いらっしゃいますか?食料事情の改善のための試作品をぜひ試食してもらいたいのですが………」

村人「長老ならしばらく留守だぞ?」

聞き覚えのない男性に驚き振り返ると、そこには猟銃をもった赤髪でひげ面の男が立っていた 都市は30代くらいだろうか?筋肉もあって若く見える

「あ、おはようございます。長老はいらっしゃらないんですか?」

村人「おう、ちょっと帝国から呼びだしを受けててな呼ばれるやすぐに向かわれたよ。お前は以前井戸に侵入した奴じゃないか、何しに来たんだ?」

「あ、その節はすみません、今日は栄養ある食べ物を作ってみまして……」

村人「クッキーか、てかなんか緑がかってないか?」

「これはそういうクッキーなんですよ、ちいさな生物を練りこんだクッキーでして、栄養価はなかなか良いんですよ」

村人「ほおー?ひとついいか?」

「ええ、勿論」

そういうと男は二枚ほどとって豪快に食べ始めた

村人「んー味は普通のクッキーだな、でもうまいぞ!これで本当に栄養もあるのか?」

「ええ、光合成をして養分を蓄える微生物を練りこんでますから一応は」

村人「ならこのクッキー明日また作ってくれないか?しばらく狩りのために山小屋で寝泊まりしなくてはならなくてな、これなら便利そうだ」

「いいですよ、どれくらい必要ですかね?」

村人「申し訳ないが作れるだけほしいな、保存のきく食べ物はあるだけありがたいし、いつ帰れるか分からないんだ すまないが頼めるかい?代金なら狩りが終わったら渡すからさ」

「わかりました、でもなんなら定期的に届けましょうか?」

村人「ありがたいがそれはやめた方がいい、ここんところ森の様子が変なんだ 果実の実りが悪いし、動物の変死体があるし、山菜の色が変色しているし……ああ、あと動物が急に変な動きをしたり、温厚なやつがかみついてきたりもしたな。全体的に動物の数が減ってきたから犬を連れて探しに行くと、犬の鼻がちっとも役に立たないんだよ」

「そんなことが……」

村人「ああ、だから普段安全なところが安全ではなくなったりといろいろ大変さ、だからあんたは来ない方がいい」

「ちなみにどこの森に行くんだい?」

村人「ああ、あの森だよ 木咲の森さ・・・っとそろそろ行くわ、明日は頼んだぜ」

男はそのまま森に向かって行った

(木咲の森か……たしか長老がこの村の地下水は木咲の森からくるものだと言っていたな……俺が以前いた場所なのかは定かではないが、もしそうなら多少はわかるかもしれないな………よし!俺もこっそり入ってみるか)


俺はその後村人と別れクッキー作りを再開し、明日に備えた

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