フィクションとノンフィクションの狭間で

武蔵国に実在する「とある坂」
名前の由来にまつわる伝承を作者さまの文才で現代に再構築した時代劇です。

若き武将、北条氏康の初陣と敗北。そして機転を利かせた「まさかの展開」が、しっかり時代考証を経た文章で活き活きと描かれていました。
若さと勢いだけで圧倒的兵力の差を覆せるはずもない。だからこそ栄誉ある犬死によりも武将として選ぶ道がある。そんな主人公の考え方がとてもリアルで、実際の戦場も殺伐とした中に最低限通すべき筋があって、きっとこんな感じだったのではないのか……などと感慨にふけってしまいました。

実在する資料からフィクションとしてリアリティのある物語を紡ぐ。
これこそ大河ドラマの醍醐味ではないでしょうか。好きな方は是非!

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