私、理解者ができちゃった!(2)

早速、草加部さんのお宅に伺った。


福祉施設から徒歩10分くらいのマンションに草加部さんは住んでいた。


「お邪魔します!」

靴を揃えて、室内に上がらせて貰った。


「そこに座ってね。今、コーヒーを入れるわ。砂糖とミルクは入れる?」と草加部さんが話しかけてくれた。


「はい、お願いします!」と私は答えた。


コーヒーは余り得意ではないのだけど、砂糖とミルクが入っていれば飲むことが出来た。


「早速だけど、さっきの話の続きをしましょう。」と草加部さんは話し始めた。


実は草加部さんは養子とのことだった。

お父さんとは血の繋がりはないらしい。


また、草加部さんは親友の娘さんだったそうだ。


草加部さんが生まれて間もなくご両親は事故で亡くなられたそうだ。


ご両親は駆け落ち同然で東京に出てきており、親族との繋がりは一切なくなっていたとのこと。


たまたま、事故現場に居合わせた育ての親となる第2のお父様が、草加部さんを引き取ってくれたそうだ。


(親友の娘さんだから、俺が育てる)

友情の証をずっと示してきたお父様。


その後、見合いも数回したそうだが、意味ありな娘がいる男性と結婚したいと思う女性はいなかったらしい。


(俺は一生1人でも、この子だけは幸せにしてみせる)


その気持ちだけで人生を送ってきたお父様とのことだった。


草加部さんはお父様と暮らしているうちにザワザワ影が見えるようになったそうだ。


ちょうど高校生くらいから...


(影が見え始めたのは私と同じくらいだ...)


私はそう思った。


やはり、影が見えた時、お父様に災いが起きたそうだ。


原付スクーターの転倒からの左手骨折。


街中を歩いていて、スズメバチに刺される。


など、様々なことがあったそうだ。


初めは、気のせいと思っていた草加部さんだったが、だんだんザワザワ影と災いが関係あるのでは?

と思うようになっていた。


ある時、お父様にザワザワ影の話をしたそうだ。


お父様は

「お前は何を言っているんだい?」と話を聞いて貰えなかったそうだ。


そこから、草加部さんはザワザワ影に関して誰にも言えず、悩みを抱えたまま日々を過ごしていた...。


そして、草加部さんは結婚し女の子を出産する。


草加部さんのご主人はお子さんが5歳の時に交通事故で亡くなられたそうだ。


お父様、草加部さん、娘さんの3人暮らしで現在に至る。


ただ、お父様は先日、先月高齢者施設に入所されているので、正しくは現在は娘さんとの2人暮らしとのことだ。


そして、草加部さんは気づいたらザワザワ影が見えなくなっていたそうだ。


(本当に悲しく、辛い人生を過ごしてきた草加部さん。それでも、いつも笑顔で周りの幸せを願っている方。本当に尊敬した)


私は素晴らしい人と知り合えた。


影の悩みも、この人なら理解、相談出来るかもしれない。


一通り話を終えた、草加部さんは

「さて、今日会ってほしい娘なんだけど...もう少しで帰ったて来ると思うから少し待ってて」と話を括った。


(どんな娘さん何だろう?)


私はとても楽しみになった

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