第7話 深夜の団欒

前で止まった自転車に近づくと女性が降りて来た、足元を照らすライトで顔は見えないが声で分かった。

「高野じゃん、なら話は速いね、2日だけ泊めてくれない?、水曜まで家誰もいなくて、鍵忘れたし、寝るところないから、、、でも、またかとか酷くない?」

朝の登校途中にぶつかりそうになった場所で帰りも遭遇した。

「悪い、つい、でも泊めるのは、、、」

幼馴染みで両親も仲のいいため昔は頻繁に遊んではお泊まりだったが、今はすっかり成長して高校生、幼馴染みとはいえ、年頃の女の子を泊めるのは無理があるが、いのりは違った。

「大丈夫だと思います、彼女は悪い人ではありません、彼女のスマートフォンを精査しました」

いのりの声に自称高木は密接距離まで近寄ってきた。

「やっぱり、その服、エロっ」

いのりは真っ先に悪口を言われたが、特に気にすることも無かった。

「肋骨抜いたんだ?」

しかし、のぞみが放ったその言葉にいのりのスイッチが入った。

「初対面、いえ、先ほど会ったとはいえ、エロとは言い過ぎだと思います、それに、肋骨抜いただの、豊胸しただの、体型のことを散々言うのは酷過ぎます」

その言い返しにのぞみもスイッチが入った。

「だってそのくびれ、肋骨抜いたんでしょ?お尻にもシリコン、胸にもシリコン、半導体かよ?」

ある意味半導体だがいのりはそれとは無関係だ。

「喧嘩はやめて?」

一言で2人は静かになった。

「ごめんなさい、京さんに、密着して1人だけ肌の温もりを、独占してたので嫉妬してしまい、取り乱してしまいました」

スマートフォンを持つといのりは、とろけるようにだらけた。

「暖かい、これが人の温もり、、、」

家に電話をかけて、それから2人で家に帰った。

帰ると玄関に母親が待っていた。

「あら?のぞみじゃん、もしかして泊まる人ってのぞみ?、付き合ってんの?」

1番言われたくない事を言われた。制服で2泊3日だけの素泊まり。

「服とかどうすんの?」

母親が心配するが、何やら考えがあるらしい。

「変なことすんなよ?」

それから2人で夕食になった。

「これが2人でのお食事ですか、私もご一緒したいです」

物珍しそうに見てきたが、お互いに対角線上に座り、顔を合わせない配置だ

「懐かしいね」

ずっと変わらないカレー、のぞみも子供の頃からこのカレーを食べてきた。

食事が終わり、先に風呂に入った。

「暑いからシャワーで」

15分くらいで出るとのぞみと入れ替わり、そこへ母親が入っていった。3分後、母親が出て来て、30分くらいでのぞみも出てきたが、制服は洗濯しているらしく下着姿で、胸元に音楽プレイヤーを挟み込み、イヤホンを付けて音楽を聴いてノリノリで出て来た。

「おいおい、勘弁しろよ」

するとイヤホンを外した。

「普段通りでいいってよ」

あまりにも普段通り過ぎるのかわからないがそのままソファーに飛び込んだ。

「ここで寝るわ、めっちゃいい」

のぞみを他所に歯磨きを始めると母親が二階から降りて来た。

「ホテルとかのアメニティの歯ブラシだけどこれでよかったら使って」

受け取ってお礼を言うなり、洗面所に突撃して来た。

「私も同じようにします」

ポケットのスマートフォンからいのりの声にが聞こえて来た、取り出すと画面に向かって歯磨きをしていた。

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