第2話 似た者親子。

 ウェグラル大陸の中心から、僅かに東に位置する場所に広がるフィフラル帝国。大陸で最も大きな領土を持つその国の、中心よりやや西に、帝都ファラレイルがある。古くは周辺各国を軍事的に支配し、占領してその領土を広げていたフィフラル帝国は今、その大陸のほぼ中心という位置から、諸外国との貿易により栄える商業大国になりつつあった。もちろん、帝国の根本的な理念ともいえる、軍事的な側面はそのままに。

 その帝都ファラレイルの更に中心部にあるのが、フィフラル帝国の政治の中心であり、頂点に位置する皇族の住まう皇宮である。隅から隅までを見て回ろうとするならば、丸一日以上の時間を要する巨大な宮殿。その内廷の一角に、皇帝の息子であり、第二皇子であるザイルの私室はあった。

 長い毛の絨毯や、壁にかけられた雄々しい馬の絵画。客人用の猫脚のソファに揃いのテーブル、手触りの良いクッション。どう見てもザイルらしくない、やたらと華美な装飾が目立つその部屋は、ほとんどが義母である側妃、ネルティア主導で内装が整えられたと聞いている。ザイルが宮殿の外で遊び歩いている間に。

 まあ別に、自分の部屋だからといってこれといったこだわりがあるわけでもなく、扉に最も近いその部屋は、私的な客を迎える応接室でもあるため、装飾品一つとっても第二皇子のザイルとして、周囲からどのように見られているかを視野に入れながら選ばなければならないわけで。正直な所、ネルティアが勝手に整えてくれていて本当に有り難かった。自分で整えていたならば、適当なソファとテーブルが置かれていただけの、なんとも地味な部屋になっていたに違いない。そんな応接室のさらに奥にある寝室は、必要なものだけが置かれている簡素な部屋であるために、あながちその予想も間違っていないだろう。

 もちろん、簡素とはいえど第二皇子の私室。それぞれの品質は最上級の物ばかりだが、目に痛いほどに贅を凝らす必要もないだろう。必要以上に華美な装飾は、どうにも落ち着かないのである。

 そんなザイルの私室内の、煌びやかな応接室では、現在四人の人物が神妙な表情で顔を合わせていた。


「……つまり、次の夜会、……俺とラテルティアの婚約のお披露目を行う、皇帝主催の舞踏会の場に、主だった兄上の婚約者候補は皆出席する、ということですね。シーズン最後の夜会ですし、当たり前と言えば、当たり前ではありますが……」


 ぼそりと、普段からは考えられない程丁寧な口調でザイルは呟いた。口調とは裏腹に、その顔にうんざりとした内心をそのまま表したような表情を浮かべ、正面に座る兄、エリルに視線を向ける。

 エリルはその冷たい美貌に、苦い笑みを浮かべていた。口の端だけが持ちあがっただけの、かろうじて笑みにも見えるという程度の変化ではあるが、普段の無表情を思えばそれでも多大な変化だった。


「皆が皆、高位貴族の令嬢ばかりだからな。第二皇子であるお前の婚約者のお披露目に来ないわけもあるまい。……レンナイト公爵令嬢。私の婚約者候補の見極めは、すでに始まっていると思え。お前が父上から与えられた仕事は、あくまでも第二皇子の婚約者としての茶会を開き、皇太子である私の婚約者にを洗い出すことだ。挑発するなり馬鹿にするなり、方法は色々あるだろう。思うように動くと良い」


 「後始末はザイルが行うから気にしなくて良い」と、エリルはザイルの隣に座るラテルティアに告げる。また勝手なことをと思いながらも、ザイルもまたそちらに視線を向ければ、ラテルティアは僅かに緊張したような顔をして頷いていた。話の内容ももちろんあるだろうが、エリルがこの部屋に来た時から、彼女はずっとこの調子である。

 前にラティティリス王国で顔を合わせた時も思ったのだが、どうやらラテルティアはエリルの存在に慣れていないようだった。まあ、元々が他国の第一皇子で、現皇太子だから無理もないかもしれないが。

 それにしても、とザイルは二人に気付かれぬように息を吐く。ただでさえ自分たちの婚約のお披露目に、隣国の王太子の結婚式への出席という予定が詰まっているというのに。この面倒臭い時期に余計なことをしてくれると、ここにはいない父、クィレルの顔を思い浮かべながら、ザイルはがしがしと髪を掻き乱した。


「父上も何故、兄上の婚約者候補の振り落としをラテルティアに頼んだのか……。こういうことは、義母上の管轄ではないのですか」


 しかも、ラテルティアを自分の婚約者だと紹介するために、自分と彼女、そして現在皇族と呼ばれるネルティアやエリル、叔父のダリスが、初めて揃って対面した、その場で。『丁度良いから、仕事を頼まれてくれないか』という、あまりにも軽い調子で。

 

 見た目は俺がそっくりだって言われてるが……。絶対に中身は兄上とそっくりだからな。父上は。


 突拍子もないことを、その場の空気を読んだ上で唐突に口にする所とか、特に。少なくとも、息子の婚約者としての初対面の場で、仕事を申し付けるのはどうなのだと、ザイルはその場で惜しげなく頬を引き攣らせたものだ。

 その時のことを思い出しながら、ザイルがぼそりと恨みがましく口にすれば、エリルがこくりと一つ頷く。「この件を言い出した叔父上は、当初そのつもりだったようだが」と、彼は続けた。


「最終的に父上がレンナイト公爵令嬢に、と。叔父上が婚約者候補として挙げた令嬢たちの親に、気になる貴族がいたようだな」


 やはり父上の思い付きか、と思うも、考えるように視線を動かしながら言うエリルの言葉に、ザイルはその血のように赤い目を細くする。「その貴族というのは」と訊ねれば、エリルは何かを逡巡するような間を空けて。「……キルナリス公爵だ」と言葉を紡いだ。

 「げ」と、思わずザイルは呟いていた。


「キルナリス公爵ってことは……、メラルニア、か」


 呻くように言えば、背後に控えていたジェイルもまた、「うわ」と嫌そうな声を上げるのが聞こえた。傍らのラテルティアだけが、不思議そうな顔でこちらを見上げている。

 エリルはザイルの言葉に深く息を吐き出しながら、こくりと頷いた。


「そう。そのメラルニア嬢も、もちろん私の婚約者候補だ。筆頭候補とでも言うべきか。ここ数年、キルナリス公爵家がやけに羽振りが良いのは、お前も知っているだろう。領地経営の他に、テグニスに上の令嬢が嫁いだため、商売がしやすくなったと言っていたな」


 フィフラル帝国から見て、南寄りの東隣りに位置する国、テグニス国。その広さはフィフラルの半分にも満たないが、国の東から南にかけて、広く海に面しているため、海産物などが貿易の主流となっており、フィフラルにも多く入って来ている。フィフラルは大陸一の広さを持つ国だが、極端に海に接する面積が狭いため、海に関する品物のほとんどが他国からの輸入品となるのだ。

 キルナリス公爵の上の令嬢が嫁いだのは、海とは真反対の内陸部に領地を持つ侯爵であるが、かなり顔の広い人物らしく、その伝手でキルナリス公爵が所有している商会は商売が順調なのだそうだ。そう本人が自慢げに話していたのを、ザイルも耳にしていた。


「ですが、テグニスの内陸部と言えば、今は確か……」


 思わずそう呟けば、エリルが静かに目線だけをこちらに投げてくる。物言いたげなその視線に口を噤み、「……まあ、今回の件には関係ありませんね」と続けた。

 急に言葉を切ったザイルに、ラテルティアが不思議そうにこちらを見上げてくるのを感じたが、視線の先でエリルがこくりと頷いたことから、どうやら自分の選択は正解だったようだと内心で納得した。ラテルティアには知られたくない話らしい。


「何にしても、夜会や茶会にかの令嬢が参加する以上、少々面倒事が起こる可能性もある。ザイル、お前も注意しておくことだ。……何せかの令嬢は、元々私ではなくお前の筆頭婚約者候補だったからな」


「……え?」


 さらりとエリルが告げた言葉。ラテルティアが思わずというように呟き、ぴたりと動きを止める。背後でジェイルが、「え、言っちゃうんですかそれ」と呟くのが聞こえた。

 しかしザイルとしては、特に気にならなかった。メラルニアがエリルの婚約者候補になっていると知った以上、ラテルティアが彼女と顔を合わせる前には言っておこうと思っていたから。


 俺がいないところで好き勝手言われるよりは、先に説明しといた方がラテルティアも安心するだろうからな。


 思い、「そうなんですか……?」とこちらを向いて訊ねてくるラテルティアの言葉に、「ああ」と素直に頷いた。そこに何の気持ちも有りはしないと、そう伝わることを願いながら。


「さっきも兄上が言ったように、キルナリス公爵家はこの国でもかなり力のある貴族だ。その末娘であるメラルニアとは、年も近かったし、俺か兄上のどちらかに嫁ぐかもしれないってのは昔から言われてた。で、どうやらメラルニアは、兄上よりも俺の顔が好みだったらしい。小せぇころからずっと言われてたからな」


 好きだから、結婚したい。そのためにも、皇太子になってくれ、と。


 おかげで、軽く女嫌いになったからな。……いや、人嫌い、の方が正しいか。


 彼女と言葉を交わす内に、自分に未来の皇帝という意味以外での価値はあるのか、その価値がなくなればどうなるのか。そんなことを考えるようになったのだから。

 もちろん、メラルニアがその全ての原因というわけではない。口に出したのはまだ世間を知らない幼い彼女だけだったが、周囲の視線もまた同じことを言っていたから。けれど少なくとも、きっかけの一つになったのは間違いない。


「正直な話、俺はあいつのこと、あんまり好きじゃねぇ。それこそ小せぇ時から話し相手として傍にいたから、幼馴染のようなものじゃあるがな」


 あくまでもそれだけの関係。「だから、お前の心配するようなことは何もねぇよ」と、笑ってその頭をぽすりと撫でれば、ラテルティアは数度瞬きをした後、ほっとしたように頷き、「はい」と言って微笑んでいた。


「まあ、兄上の妃としては良いかもしれませんね。そこらの貴族の令息たちよりも頭は良かったですし、昔から話も合うみたいでしたから」


 視線をラテルティアからエリルの方へと向けながらそう続ける。今回はあくまでも、エリルの婚約者候補を振り落とすための茶会なのだ。自分の主観は必要ないだろう。

 エリルはザイルの言葉に不思議そうな顔になると、一度ラテルティアの方へと視線を向け、少しだけ眉間に皺を寄せた。「以前ならば、な」と、何やら含みのある言い方をするエリルに、今度はザイルの方が不思議に思い、首を傾げる。それはどういう意味だと、そう問いかけようと口を開いた時だ。

 こん、こん、と、扉の方から、控えめな音が聞こえた。


「ご歓談中、申し訳ございません。ラテルティア様。ドレスの最終調整を行いますので、お越し願えますか?」


 扉を開けて顔を出したのは、いつもラテルティアの部屋で顔を合わせる、彼女付きの侍女だった。元々はレンナイト公爵家の侍女であり、ラテルティアについてフィフラルにやって来たそうだ。年はおそらくザイルやエリルよりも上だろう。落ち着いた雰囲気を持つ、茶色の長い髪を頭の上で一つにまとめた、青い目の侍女である。「シルビア」と、ラテルティアが呟いた。おそらく彼女の名前だろう。そういえばこの後、ラテルティアは用があると言っていたが、もうそんな時間だったか。

 思い、エリルの方を見れば、彼もまた同じことを考えていたようで。こくりと頷き、「レンナイト公爵令嬢」と、ラテルティアに声をかけた。


「話が長くなってすまない。後はザイルと話しておくから、もう行って良いぞ」


 エリルが言えば、ラテルティアは申し訳なさそうに頷き、「お気遣い、ありがとうございます」と呟いた。


「それでは、わたくしはこれで失礼いたします。……ザイル殿下。何かありましたら、あとで教えてくださいませね」


 立ち上がったラテルティアは、最後にそうザイルに言い残して、部屋を出た。扉が閉まる直前にこちらを見たラテルティアが、僅かにはにかむのを目にして、ザイルは知らずその表情を緩める。

 ぱたん、と音を立てて扉が完全に閉まった直後、「ジェイルも大変だな」というエリルの声が聞こえた。


「毎日この調子なのだろう? 相手もいない私やお前にとっては、目に痛い光景だな」


「仰る通りで」


 苦笑交じりの声に、背後のジェイルが溜息と共に応じる。一体何の話だと思ってエリルを見れば、彼は首を横に振って、その緑色の目を細めた。「お前が幸せそうで、何よりだ」と言いながら。


「以前のお前からは考えられないな。皇族としての仕事で必要な場合でもなければ、女相手だと愛想笑いの一つもしなかったというのに。……レンナイト公爵令嬢相手では、真面目な顔を作っている方が難しそうだ」


 「見ていて微笑ましい」とエリルは言うが。そこまで酷かったかと、ザイルは視線を泳がせる。ラテルティアが見ている時に、それほどだらしない顔をしているつもりはなかったのだが。

 思うも、周囲から見た自分の姿が見えるはずもなく、もっと気を付けなければと、一人心の中で思った。


「それよりも、兄上。……テグニスとドリクティアルの紛争の件をラテルティアに聞かせなかったのは、何故です?」


 話題を変えようと一つ咳払いをして、ザイルは先ほど口にしようとしていた話をもう一度持ち出す。エリルは一度こちらに視線をやった後、テーブルの上で冷めていた紅茶を手に取り、口にした。「彼女は、嘘があまり上手ではないのだろう?」と、彼は小さく笑った。


「あの場でその件を持ち出せば、全てを話すことになっただろうからな。……お前も気付いているだろう。父上と叔父上が、なぜあのようなことを言い出したのか」


 真面目な顔で言うエリルに、ザイルは一つ息を吐き出した後、頷く。エリルの婚約者という話を聞いた瞬間、もしかしたらと嫌な予感がしていたが。キルナリス公爵の名を聞いて、やはりと思った。だからこそ、本当ならばラテルティアを関わらせたくなかったのだ。

 間接的にでも、他国同士の紛争に関わる話になんて。


「テグニス国とドリクティアル王国が、狭間の地、ティールを巡って争うのはこれが初めてではありませんから、それだけを見れば何も思わなかったのですが……」


 古くから何度も勃発している、南寄りの隣国、テグニス国と、北寄りの隣国、ドリクティアル王国の、領地を巡る紛争。それに関しては珍しくもなく、フィフラル帝国としては常に静観の立場を取り続けているのだが。

 今回は少し、状況が違って見えたのだ。


「キルナリス公爵家の令嬢がテグニスに嫁ぎ、商売が上手くいったと言い出し、……紛争が起きたのはその一年後である、去年の事。その間、テグニスからの海産物等の輸入品が増えたとは聞いておりません。ではなぜ、キルナリス公爵家の羽振りが良くなったのか。……考えられるのは、キルナリス公爵が娘を通し、テグニスに何らかの支援をして、その見返りに資金を得ている、ということくらいですからね」


 だが、戦争中の国にそれほど資金の余裕があるはずもない。食料であれば需要もあるかもしれないが、そんな話もまた、ザイルの元には聞こえてきていない。キルナリス公爵家の領地で取れる麦などの取れ高は、ここ近年それほど変化もなく、大幅に輸出量を変えられるわけもなかったから。では、一体彼は何の対価として資金を得ているのか。

 考えられるのは、一つ。


「父上と叔父上は、キルナリス公爵の視線を、娘を皇太子に嫁がせるということに向けさせ、背後で公爵を探るつもりなのでしょう。……彼が運営しているであろう、武器や防具などの製造工場を見つけ出すために」


 戦争を始めるために、最も必要となるのがその二つ。しかも元々が軍事大国であったフィフラルの武器や防具は、他国で生産された物に比べて明らかに質が良い。実際、今まで勝敗のない戦いを繰り返していた二つの国の争いも、今回はテグニス側が押しているという話だ。しかし、国内の貴族が隣国の紛争に手を貸しているという状況は、静観の立場を取るフィフラル帝国としては、非常にまずいのである。何せ後々、そのことを理由に、敗戦国から戦争を仕掛けられる可能性も考えられるのだから。戦争は、勝てば得る物も多いが、勝敗に関わらず失うものが多すぎる。必要のない戦いを、フィフラルは望んでいなかった。

 だからこそ、より確実にメラルニアとキルナリス公爵の視線を逸らすために、ラテルティアを指名したのだ。メラルニアがザイルに執心していることは周知の事実であり、キルナリス公爵が娘を溺愛していることもまた、広く知られていたから。


 ……まあ、俺は皇太子にならなかったわけだから、もう興味もねぇかもしれねぇが。その場合は本格的に兄上の婚約者を狙ってくるだろうしな。


 キルナリス公爵としても、娘を皇帝の妃にする機会を逃すはずはないだろう。どちらにしろ、彼の視線が完全にこちらを向く。それを見越しての話なのだと、ザイルはすぐに気が付き、その場で拒否しようとしたのだけれど。

 他ならぬラテルティアが応じたのである。もちろん、彼女としては、一国の皇帝であるクィレルからの命令に従わないわけにもいかないだろうけれど。


 どちらかというと、嬉しそうだったからな……。仕事を任されることが。


 青い瞳をきらきらと輝かせるラテルティアに、自分が父に頼むから、そのような仕事を受けるのはやめろ、なんて、ザイルには言えるはずもなかったというわけである。


「それに、父上や叔父上のことですから。……メラルニアが万が一、皇太子でもない俺に執着していて、婚約者であるラテルティアに危害を加えるようなことがあれば、これ幸いと公爵共々、何かしら罰を与えるつもりでしょうからね。……絶対にそのようなことさせませんが」


 だからエリルも、挑発するなり馬鹿にするなり、などとらしくもないことをラテルティアに言ったのだろう。クィレルやダリスの思惑を見越して。

 だが、いくらこの国の皇帝や宰相の思惑だといっても、限度というものがある。二人に逆らうことになろうとも、ラテルティアの身の安全にかかわることならば、ザイルは全力で阻止するつもりだった。そうすることで、事態を上手く収められなくなるとしても、だ。それだけは譲れない。

 エリルはザイルの言葉に頷き、「私も、お前と同意見だ」と呟いた。


「レンナイト公爵令嬢が乗り気だったので何も言いはしなかったがな。彼女の身に何かあることだけは、認められん。……せっかく私とも話が合いそうな娘が義妹になるんだ。逃してたまるか」


 真面目な顔でぼそりと呟かれた言葉の意味はよく分からなかったが、エリルもまた、ラテルティアが傷つくことは反対のようでほっとする。父や叔父に加えて、兄までも自分とは違う意見であれば、さすがにザイルも慎重に動かざるを得なくなってしまうから。まあ、それでもどうにかしてラテルティアを護るだろうけれど。


 皇太子の妃にこだわっていたメラルニアが相手だからな。大丈夫だとは思うが。


 それでも不安な要素は少しでも減らすべきだと、ザイルはエリルと共に、今後のことについて話し合いを続けた。自分の考えが甘かったことに、この時はまだ、気付いていなかった。

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