第10話

「何でわかったのかしら?」


「貴方は私の要望に応えてくれた。


修練に必要な環境、私の身体の治療、更に家まで用意して頂いた。


そんな私に協力的だった貴方が不必要な人間をこの地に近づけるのは良しとはしないはず。

私はこれでも貴方を信用しているのですよ」


信用に足る行いをしてくれた者には信用で返し、出来得る限りの配慮をする。

私が今まで生きてきた中で貫いてきた事の一つだ。


「なるほどね、貴方らしいわ。


今日来たのは他でもない、用意し忘れた物があったからよ」


そう言うと彼女は懐から腕時計を出し、渡して来た。


「こちらの世界に対応させておいた貴方の時計よ。


貴方には必要な物でしょう?」


「時間が解らないと不便な事が多かったので助かります」


「それの他に家に本を追加しておいたから読んでおいたらいいわ。


それじゃ、貴方の働きに期待してるわね」


言い終わるとクリスもとい神様は姿を消した。

いわゆる転移というヤツだろうか。

なかなか便利な魔法もあったものだ。


さて、新しく追加された本とやらを見てみるとしようか。


この世界の植物や動物について書かれた本

魔物について書かれた本


の二つが追加されていた。


植物や動物の可食が出来るとかが書いてあるのはかなり助かるな。

私の集めた木の実とかが食べられるか調べてみるとしよう。


結果から言うと集めた木の実等はほぼ食べられる事が解った。

これで食事抜きの日々から解放される。

一日で食べ切るつもりではないが、それなりに量は食べたい。


また明日にでも食料を調達しに行くべきだな。

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