5日目

コトミの家には家庭菜園がある。

彼女は缶詰とこの菜園で糊口をしのいできた。


「そろそろ肉がいるわ。」


肉。生肉だ。

スーパーでバラ100グラム298円で売ってればいいけど、こんな世界でそれは望みえない。


「この辺りには動物も多い、すぐに見つけられるだろう。」


いや、見つけられてもね。どうやって倒すの?

銀杏くんはイノシシにやられたよ?


「家に弓矢がある。お前たちもコレを使え。」


ちょっと練習してみる二人。

銀杏くんは初撃から的に当てたが、僕は全然ダメだった。


「たかしが囮となって動物を追いやり、二人で仕留めましょう。」


さっそく出かける3人。狩りなんてやったことないよ。

上手くいくかな。。。


しばらく捜索。

まって、アカン。ゾンビおる。

動物探す前に大量のゾンビにやられそうで怖い。

だけど相手はゆっくり歩くゾンビ一体。

3人で弓矢で応戦した。一向に当たらない僕の矢に対して、二人は的確にヘッドショットを決めていく。うわあ、頭がハリネズミみたい。

さいごの一発で頭がもげた。ぼろって言った!

そしてなんとも感じないかのようにゾンビの死体(遺体?)から矢を引き抜いていく二人。コトミは慣れているだろうけど、銀杏クンはなんでこんなに上手いんだろう。


「スキル欄から弓矢スキルとったぜ?たかしは取ってないのか?」


おいおいおい、聞いてないよ、なにスキル欄って。

銀杏くんの身体をゆすぶって話を聞く。どうやら、ある程度ゾンビを倒すと、スキルが入手できるようだった。

どうしてもっと早く言ってくれないかなあ!俺TUEEEできるんじゃん!

と、わくわくしながらスキル欄を見る。【ゾンビ倒した数:2】

弓矢スキルはゾンビを最低10体は倒してないと開けなかった。

いつのまにそんなに倒してたの銀杏くん!( ゚Д゚)

僕の俺TUEEE計画は早くも頓挫した。


そのあともたびたび出てくるゾンビ。

2人に頼んで、足止めをしてもらい、弱ったところを僕がトドメを刺すことで、なんとか弓矢スキル1を取ることができた。試しに撃ったけど、当たる!僕の腕でも的に当たるよ!


忘れていたが、今日は肉をゲットしなきゃいけないんだ。

ここは当初の予定通り、僕が囮役をする。


「いたぞ!鹿だ!」

銀杏くんの通信で3人は狩り態勢になる。

鹿にの周りを大回りで囲んだ形になり、突撃する僕。

さあ、逃げろ鹿!銀杏くんが待ってるよ!


ところが、鹿は僕を見ると、逃げるどころか突撃してきた。

この世界の鹿、狂暴すぎない?

迫りくる鹿。うわああ、近くで見るとでっかーい。

ドゴッ

直撃する鹿のツノ。

48/100

いてえ!一撃で体力ゲージ半分持ってったんだけど!


「いいぞ!たかし!そのまま鹿のツノを掴んで抑え込め!」


どこをどう見たらイイぞ!になるの!ツノ食い込んでるんですけど!

いやでもね、夢だからね、耐えられない痛みじゃないんだ。

だから必死にツノに食らいつけた。

ヒュッ

鹿のケツに矢が刺さる。

ナイスショット、その後も暴れる鹿にナイスショットを決めていく二人。

ついに鹿は動かなくなった。

とったど~~~!

【3人は鹿をゲットした】

って、テロップ出てもいいのに。


「ナイスだたかし、よく鹿の動きを止めてくれたな!」

「ありがとう。おかげで仕留められたわ。」

うん、でもね、途中から思ったんだ。

矢がね、僕を掠めるんだ。鹿よりこっちのほうが怖かったよ?

当たったらどうするつもりだったの?


「さあ、帰りましょう。今夜は二人の歓迎の肉スープにするわ」

ねえ、当たったらどうするの?

「なるほど、それで肉を取りたかったのか。感謝するぜ!」

ねえ、僕の心配は…?



その夜の晩餐は豪華肉スープ。

新鮮な鹿肉を使った肉スープは野菜のダシと肉のダシがよく効いて美味しかった。

コトミの動物解体センスはすごかった。

鹿肉なんて初めて食べたけど、案外臭みもなく、食が進んだ。

ありがたいことに肉スープには体力回復の効果もあったようで、

78/100まで回復していた。あと残りはどうやって回復すればいいんだろう。


僕の能力

体力78/100

弓矢スキル1


どうやら他のスキルもゾンビを倒せば手に入るようだ。

俺TUEEEに向けて頑張ろう。

おやすみなさい


続く





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る