4日目

「起きろたかし。出かける。」


コトミに起こされた。


「たかし、まずは、移動手段を見つける。自転車か…原付、車が使えるものがあるといいんだが。」


なるほど。それを探しに行くのね。

目覚めはいいほうなので、パッと起き上がって顔を叩く。よし、シャキッとした。


町の外を探索し始める。

ゾンビが怖いので、町の道端をひたすら回る。

ごみ漁りして食料を探しつつ、移動手段を探します。


「おーい、なんか見つけたか?」

耳元で銀杏くんの通信が聞こえる。


「うん。鍵はかかってるけど、車がある。セダンだね。」

「任せろ。今行く。」


しばらくして合流した銀杏くん。迷わず包丁で車の窓を破壊。

バリーン。飛び散る窓。


キーが無いな。

エンジンがつかなきゃどうしようもなかった。


「やっぱり自転車くらいで手を打つか。」


探す対象を自転車に切り替える。

その後、パンクをしているが、3台集めることができた。


「これで隣町まで行けるな。」

「隣町に何があるの?」

「たぶんだけど、君たちがいたように、実は誰かいるんじゃないかと思っている。私はこの町から出たことがないから。」


コトミはこの町で自給自足の生活がなんとか出来ていたので、町から出る必要がなかったことを教えてくれた。


「なんだか旅行気分で楽しくなってきたな。」


銀杏くんが笑っている。ゾンビを殺したあとにこの笑顔だ。

どういう神経してるんだろう。


「夢だし、ゲームっぽいし、こういうとき楽しまなくちゃじゃね?」


無理だ。怖いって。


「無理はするなよ、だいたい俺がなんとかしてやるからさ。」


ありがとう。いや、そういわれると、僕も何かしなきゃいけないなって思うよ。

待って、これ、銀杏くん、死亡フラグじゃね?

今のうちに訂正しといたほうがよくない?


「おk。なら、テキトーにやるよ。」

「さあ、行こう。暗くなる前に着かないと危険よ」


3人はパンクした自転車できこきこと道を進む。

歩くよりは早いが、そこかしこゴミが落ちている道は走りづらかった。


日が落ちるころには隣町についた。

が、町というより、要塞であった。

高さ10mはあろうかという壁で囲われている。


「人がいそうだぜ?」

「知らなかった。こんなところにこんな建物があるなんて…」

「コンクリがキレイだし、最近できたんじゃねえか?」


入口がないか探すと、すぐに大きな門までたどり着いた。


「貴様ら、何者だ!」


大きな門の下にいる警備員と思わしき男に銃を向けられた。


「うはー、人生初の銃口だぜ。」


手を挙げる三人。まさか2日連続でホールドアップする羽目になるとは思わなかった。


パアン!

雷鳴のような音とともに隣の銀杏くんがドサリと倒れた。

あまりに急だったので、何が起こってるかわかってない。


「これ以上近づくようなら、残り二人も撃つぞ!」


ようやく銀杏くんが撃たれたことに気づく。

よくも銀杏くんをと詰め寄ろうとする僕をコトミが止める。

ようやく思いとどまった僕らは、退くことを決める。

銀杏くん…まさかもう死亡フラグ回収するなんて。。。

僕が落ち着いていられるのには理由があった。

まず、死体がない。ドサリと落ちた瞬間、消えた。

それから、


「うわ、あんにゃろー!いきなり撃ちやがった!ありえねえ!」


銀杏くんの通信が生き返ったことを証明していたからだった。


「ぜったい武器手に入れたら、やり返してやる!」


ゾンビより人のほうが怖いね。


たかしとコトミの二人はなんとかその場をあとにした。

まさかこんなゾンビだらけの世界で、人間を撃つヤツがいるなんて。



銀杏 100/100 →5㎞


銀杏は夜遅くには戻ってこれた。

いろいろ持っていたはずの荷物はすべて無くなっていた。

どうやら飛ばされるのは本人だけらしい。

大事なものはあまり持ち歩けないなと笑っていた。



「まだ人間がいることはわかった。だけど、味方とは限らない。」

「私も驚いている。同じ人間なら、協力すればいいだろうに。」


ますますこの夢は危険な世界だ。

もっと慎重に行動しなくては。



そう話し合って、寝所に入る。

明日からどうすべきか、考えがまとまらずなかなか寝付けなかった。















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