カメラ

シェンマオ

第1話

あれ、私、こんな所で何してるんだろう。


家の空き部屋で、私は一人、友達から貰ったカメラを手に突っ立っていた。

何でこんな所でカメラを持っているのか、なぜか何も憶えていない。

寝ぼけていたのだろうか。


下の階からお母さんの声が聞こえる。夕食の用意が出来たらしい。

お腹の空いていた私は階段を駆け降り、母の待つダイニングへと向かった。


上の階で何をしていたの。と先に席に着いていた母が聞いてきた。

覚えてないの、と私が言うと首を傾げ、変な子ね。と呟く。


しかし、ダイニングテーブルの上を見た私も母と同じように首を傾げた。


何故か3人分の夕食が用意されているのだ。この家に住んでいるのは私と母の2人だけなのに。


それを母に言うと、また首を傾げた。

何故だろう、と。母自身なぜ3人分用意したかよく分からないらしい。


もしかしたら、このカメラが関係しているのかもしれない。

「撮られた人が消えてしまうカメラ」

よく分からない曰くつきのカメラに、何かヒントがあるのでは、私はカメラのフォルダを覗いた。


映っていたのは、見知らぬおじさんただ1人だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カメラ シェンマオ @kamui00621

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ