第3話 契約

「ふぅ、なんとか入れたのです!」


なんだか騒がしい。でも大丈夫っぽそうだな!


「…で、ここで何をするんだ?」


「ここにとある祭壇があるのです。そこに御供物をするのです」


「祭壇?」


「ここに…古来から信仰された神がいるのです。我々は…幻獣と呼び、己の信じる幻獣を祭ってきたのです」


「ちなみにここで信仰してるのは?」


「…まだ知らないのです。母上にとりあえずここの幻獣を信仰しておけば大丈夫と聞いてきたので…」


「なんだそりゃ」


「…ごめんなさいなのです」


「別に気にすることじゃないよ」


「おい」


「はい?」


「ここに例の首謀者がいると聞いたがどこにいるか知ってるのか?」


え、ここにいるの?


「いや、知らないですね…でも奥にいるんじゃないですか?」


「そうか!ありがとう!」


そしてそのまま去っていく。…ここにいるのはやばいかもな…


「…やばくね?」


「はい…でもお供物をしていくだけなので大丈夫かと」


「ふーん?」


…もし幻獣なんかがいれば…俺はありえないことを目撃するだろうな。



「…まだー?」


「ここ、結構入り組んで、さらには深いのです。それほど大切な幻獣がいるのですね…でもその割には騒がしすぎる気が…」


「この国には知ってる人とかいるのか?」


「いえ…ほとんどいないはず。なら見つけられた…?」


だけどこんな戦時中なのにわざわざここまで来るか…?


「…この世界には幻獣とか神が普通にいる…ということなの?」


「はい。普通にいます。でも肉眼で見えるわけでもなく、ただいる、と断言されているだけなのです」


めっちゃ怪しいな…


「…それ騙されてない?」


「さあ?どうなんでしょうかね?」


いや知らないのかよ。


「まあ…これだけ言えますね」


「へ?」


「この辺り…かなり無謀地帯になっているのです」


確かにすごいうるさくて物騒。いつもは静かなのかな?


「…慎重に進むのです。どんな罠が仕掛けられているか分からないのです」


「わかってる」


「…ほら、そこにトラバサミが置いてあるのです。全く、神聖な場所というのに…」


「うわっ!?」


「気をつけるのですよ?もし罠に引っ掛かったら敵として怪しまれる可能性が高いのですから」


「わかってるって…」


下、要注意だな…





「ふぅ、やっと最深部に到着なのです…」


「疲れた…」


「これぐらいで疲れているのですか?もっと体力つけるといいのですよ!」


「地球にいた時もそうしようと努力してたんだって!」


…でも、本当に広い部屋だな…奥に大きな鳥の石像、その前には祭壇?らしきもの。その他諸々あって…地球にいたときにゲームで見た神殿と似ているな!


「さて、早くお供物を置いて帰るのです!」


「そうだな!」


…でも案の定、もみくちゃされる。


「…リリカ、あそこまで行けばいいんだよね?」


「そうなのです!」


「…よし!俺の手を離すな!ガッチリ掴んどけ!離れ離れになるぞ!」


「わ、わかったのです!」


リリカさんが俺の手を握ってきた。…暖かい。


「集まりをやっているときに来るなんて本当に運が悪いのです!」


「気にしたら…負けだ…!」


集まりの話なんか聞いている暇はない。とにかく祭壇の方に向かえばいいんだな!?


「うぅ…押し潰されそうなのです…」


「我慢しろ…もうすぐだ…!」


そして祭壇の階段について、登り始める。すると…?


「おい、そこのお前ら、何をしようとしている」


…首謀者らしき人物に止められました。


「…!リリカ!」


「わかってるのです!御供物をしてずらかるのです!」


「…!あれは神聖なる幻獣の祭壇だ!絶対に触れさせるな!」


…やっべ。後ろからめっちゃ敵が上がってきて…向かいの階段からも登ってきてる。こりゃやべぇ!


「だだだ、大ピンチなのです〜!?」


「走れ…!捕まりたくなかったらな!」


「わかってるのです…!幻獣様ー!御供物ですよー!」


『何ですって!?御供物ですって!?』


…へ?


『早く!御供物を我のところへ!』


「ま、まんじゅうなのです!」


『ハムハム…これは…美味しいですね…!久しぶりの食事…身にしみますね…!』


…は?


「…!幻獣様だ!」


『おや?神聖な私の居場所を根城として愛国を襲っているのはあなたたちですか?』


「…!いえ…そんなは」


「そうなのです!」


『そうですか…我に御供物も、手土産もくれなかったのに…』


「できれば奴らをとっちめてほしいのです!」


『そうですねぇ…我もそうしたいところですが…生憎実体がないので…そうです!そこの男の子!聞こえますか!』


「…え?俺?」


…しかいなくない?


『よくそこの女の子を連れて来てくれました!では今から一時的な契約をしましょう!一時的な力を得る代わりに奴らを成敗する、という契約ですが、どうですか?」


「幻獣様!どうか我らに力を…!」


『うるさいですね。我は悪い人には力を貸さない主義者なので』


そう聞こえると炎の壁が出てくる!すごいな!?


『さて、どうですか?あなたにとってもこれは良い契約だと』


力を手に入れて悪い輩を成敗…まるで正義のヒーローだな!いいぜ乗ってやる!


「…そうだな!これはいいな!」


『契約成立ですね!では…体が燃えますが、問題ないので怖がらないでくださいね?では、失礼します!』


その瞬間、俺の中に球体が入った。…なにこれ。


「…?何もない…?」


『あー、あー、聞こえますか…?』


『?』


『その様子だと聞こえてそうですね。我は炎の術がたくさん使えます。なので…炎に関することなら念じてそれと相性の良い行動を起こせば大体良いです。では、頑張ってくださいね?あ、もしできなかったら我が補助します』


『は、はぁ…』


『さぁ、敵はもうすぐそこに来てますよ!』


『え』


意識を取り戻せばもう敵が近づいてくる寸前!やべぇ!

えっとえっと…!炎に関する技…そうだ!


「覚悟しやがれェェェ!」


「…!エクスプロージョン!」


その瞬間、俺の体が光り爆発した!


「なっ…!?」


ドガァァァン!


「グアァァァァァ!?」


『そうです、その調子です!』


『これ便利だな…』


「に、逃げろ!」


「燃やされるぞ!」


みんな逃げていく。…俺でもできるんだな…


「…!リュウ!リリカ!」


「ギデオン!」


『また近づいてきますよ!』


『いや、大丈夫だ』


『へ?』


『…仲間だ』


『あぁ…』


「リュウ!どうしたその体は!」


「あ、これは…」


「説明しにくいと思うので…説明するのです」



リリカさんがかくかくしかじかで説明してくれました。マジありがとう。


「なるほどな…」


『ちなみに我のことは炎鳥と呼んでくれればいいですよ?』


「なぜ…本名を…」


『今は言うべきでは無いのです。ですが…もしリュウ、あなたが…幻獣の中で名の知れる者となれば…教えてあげますよ?その時はまたあのまんじゅうというお供物をくれると嬉しいですねぇ!』


「…持ってくるのです」


『ありがとうございます〜!そうそう、割と神殿は隠されているので頑張って探してくださいね!では、そろそろお役御免といきますかね…では、さらばです!』


「…消えるんだな」


一時的な契約だからね。消えるしかないな。


「一時的な契約だから…」


「そうなのか?じゃああの体が燃えていたのも…」


「あの炎鳥が取り憑いていたから」


「なるほどな?」


「リュウ、その一時的な契約ってなんだ?」


「一時的に力を貸す代わりに不法占拠していたやつらを退治するという契約だな…」


「だから逃げてったのか!理解した!」


手っ取り早くて助かるな!


「だがな…なぜリュウに?」


「さあ?」


「…知らないことは調べるに限る、そうだな?ギデオン」


「そうだ!最近仕事も入らないからな、今の目的は神殿巡りで、どうだ?!」


「さっき炎鳥が幻獣の中も名の知れた者になると教えてくれるみたいなこと言ってたな…俺は賛成だぞ」


「私もいいのですよ!楽しみなのです!」


「俺もいいぞー!幻獣様に力をもらうこともできればしてもらいたいしなー!」


「リュウはどうだ?まだこの世界に来てよくわからないだろうが…この世界に置いて幻獣はこの大地や天候を司ったり、例えば…豊穣の幻獣、暗黒の幻獣みたいに特定のものに司る幻獣もいるんだ。だが…この炎鳥はあまり分からないのが正解だ。本名を知らないからな」


へぇ…いわゆる神が獣に変化したと考えればいいか…!


「…そうだな!賛成!」


「いよぉし!とりあえず帰って王に報告だ!報酬の時間だ!そして飯の時間だ!」


「よっしゃー!割とお腹すくからなー!」


「…今日のお昼…なんだっけ」


神殿めぐり…何かは本当にわからない。でも覚えていくだろ!

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傭兵団入りの転生人 プリン制作人 @r042753

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