第4話 結菜寝盗られ編その1

そうだった、あれは・・・




“もっしもし〜ユーナ‼“


“おっ、夏帆じゃん。

久しぶりーどうしたの?“


一年ぶりに夏帆からの連絡、お互い

忙しい時期がかぶり会わない日が

続いて疎遠になっていた。


夏帆とは同じ小学校〜大学を共に

過ごし仲がよかった。


「私サ、彼氏と別れたんだァ!」


「え?・・・は?

確か婚約者がいる彼を略奪

したん・・・だっケ?

そこまでしたのに・・・なんで?」


「だってサー

つまんなくなってしまったんだモン

仕方ないじゃん。」


「つまんなくなったって夏帆・・・💦

駄目じゃん。

婚約者、けってまで夏帆を選んで

くれたのに?」


「いーじゃーん。

もう別れたんだし‼」


そう夏帆は人のものに手をだす

厄介な癖がある‼


人の男を取る快感‼

一度味わったら止められない!

幸せそうな女を見ると憎たら

しくなり不幸のドン底に突き落と

したくなる。


そんな感情が湧いてくる。

夏帆、自身からそう聞いた。


別れた理由は・・・

聞かなくても分かる。

夏帆の浮気が彼氏バレしたん

だろう。

夏帆の性格上、あちこち面倒くさく

なり、両方の彼と別れたんだ‼

夏帆は変わってないなぁ。


夏帆は相変わらずの、悪びれる

事もなくニッコリ笑って

呟いた。


「ん〜何となく

性格の不一致って奴だよ。


それよりサ

ユーナはどうなの?

あの彼氏と長いじゃん。

そろそろ結婚?

あーあ先越されたなぁ。」


「カモ‼

プロポーズしてくれて指輪も

もらったよホラ‼キラッキラ

ってか見えないか電話じゃね

テレビ通話にする?アハハ」



「やめとく、今度じっくり見せてよおめでとうユーナ

彼氏竹畑製薬じゃなかっ

た?大手じゃん。

今儲かってるよね!

いいなぁ♡


一度合わせてよ

親友として挨拶、しとかないとね。」



「ン〜どうしょうかなぁ

夏帆、綺麗だし彼氏取られたら

やだなぁ‼」


「ꉂꉂあははは

流石にナイワ‼

親友の彼だし‼」


「ダヨネ!ホッ

今週の金曜日なんて、どう?

芽依も呼ぶ?皆でワイワイ

やろうよ。」


「芽依はシンガポールに

飛ぶから無理だよ。」


「そっか残念だね。

分かった彼に聞いてから

又連絡するから。」


芽依と夏帆と私は小学校の頃から

仲が良かった。


私はキャビンアテンダントになる

ってずーっと言っていた。

しかし155センチの身長は、キャビンアテンダントへの夢をぶち壊した。


芽依と夏帆は難なくクリア

私は目が腫れる程泣いて、

空への夢を諦めた。


そして・・・旅行会社へと夢を変えた。


外国へ行って広い世界を回り

私に出来る夢を叶えたい!

今は何か分からないけど世界を股に

かけた仕事をする。


そんな希望を持っていた

雄吾と合う迄は・・・


なのに・・・


夏帆は変な性癖がある

人の男しか愛せない。

知っていたけどまさか親友の彼氏

迄誘惑するなんて・・・万が一にも

ありえない!💦


小学校から大学迄ずっと友達

いや姉妹のように過ごしてきた。


何時も信頼し合い、助け合い

一緒にいた筈なのに、私の彼に

まで手を伸ばして来るなんて・・・



夏帆は目が大きくて、鼻がスッ

と高くて愛らしく、スタイル

抜群の美人。


だから夏帆には彼を合わせていない

夏帆も自分の性癖を知っていたから

合わせてとは言わなかった。


学生の頃は楽しかった。

私達はまだまだ子供だった。

私に対しても芽依に対しても

その頃のままの夏帆と思っていた。

時間は残酷にながれていたのに・・・

気づかないなんて・・・

馬鹿だった。


「雄吾もOKだって

呑も呑も、ってか私ノンアル

だけどねー!」


「ユーナ、お子ちゃまかよ‼」


久しぶりの夏帆との再開は

凄ーく楽しみにしていた。

芽依に連絡したら

やめとけ、やめとけ、会わせるのは

危険と言っていた。


芽依は雄吾に会った事があつた

買い物中にバッタリ‼

その時も夏帆に合わせる時は

結婚式迄、会わせ無い方が良い

と結菜にはキツく言っていた。


メイは結菜の彼氏、 谷 雄吾を見て


“目を引くイケメン、

ハイスペと来れば

ウ~ンなんか

夏帆好みの気がする“

と忠告していた。





谷 雄吾とは大学の頃たまに

電車が一緒で結菜の片想いの相手

だった。

たまに目が合うと一日中元気で

いられた結菜の癒しだった。


そんなある日

雄吾が結菜のバイト先の

カフェに偶然、お客として現れた。

少しづつ常連客とスタッフの

仲になり距離が縮まった。


雄吾への気持ちが膨らみ遂に

結菜から告った。


雄吾は結菜の行動に驚いていたけど

雄吾も結菜に気があったらしく

二人はめでたく交際を始めた。


それから四年ずっと一緒に居た。

大学生の頃から雄吾と住み始め

金銭面も助けて貰っていた。

優しそうに笑う笑顔も大好きだし


二人で旅行にも出かけた。

雄吾は結菜より四歳上で大人で

知的で何でも知っていた。


そんな雄吾を結菜は尊敬していた。

もう彼との絆はシッカリしたもので

雄吾の結菜への愛情は深かった。


雄吾の家族とも上手くやっていた

特に雄吾の母親とは、買い物も

食事も、本当の母親見たく仲が

良かった。


そして金曜日私達は気楽に飲める

居酒屋で合流した。


「初めまして」

二人は挨拶をした。



そう・・・今ここで誰もが予想して

いる事が起きてしまった。

甘かった。


夏帆は親友さえも簡単に

裏切れる女になっていた。


快楽を求める体は

誰かの彼氏の肩書きが無いと

火照った体は治まらない。


病気だ‼


結菜が御手洗に行ったスキに、

二人は連絡先を交換していた。


楽しそうな2人に何の疑問も

感じない結菜は矢張りお気楽なの

だろう。


雄吾と付き合いたてなら警戒した

しかし長年寝食を共にして

暮らしてきた安心感が油断させた。


雄吾への信頼感

そして夏帆は長年の親友

想像すらしていなかった。


しかし現実は最悪で

二人は、いとも簡単に結界を飛び越え結菜を裏切った。

泣くに泣けない程、残酷だった。


二人は別れたその日に連絡を

取り合っていた。

夏帆もサルなら、雄吾も発情した

サルにも劣る。

久しぶりの別な女に心揺らされて

舞い上がったのだろう、まして

その相手が夏帆だ!


夏帆は持ち前のボディと

それ以上のセクシーさと

磨き上げたテクニックで雄吾を

落として行った。


結菜には無い、オトナの女の

滲み出る色気を

ムンムンさせながら雄吾を

食い潰して行った。


雄吾は簡単に嘘をつき

結菜を騙して行く事に妙な

快楽を覚えて行った。


結菜が怪しいと気になりだしたのは

急な出張がふえだした。


「ゴメン、明日から出張

入った。」


「え?又?」


「うん。楽しみにしていた

デート又次にでも行こう。」


そんな事は日常茶飯事

「ゴメン、今日帰り遅くなるよ

寝てて良いからね。

残業なんだよね。

昇進かかってるから頑張らないと

結菜のためだよ。」



約束していたデートも旅行も

食事もずっとキャンセル


流石に怪しいかも・・・

でも二人の結婚話は進んでいた。

式場見学も

住むマンション購入計画も




仕事だから・・・

二人の将来の為昇進もしたいし

稼げる時稼いでおきたい。

彼の話も納得出来る。


昼休み明日からの急な出張話

の事を同期の美乃(よしの)に

愚痴る。


「フウ〜ン‼ 凄く怪しいな‼」


美乃は少し考えながらランチの

グラタンのジャガイモをグサリ

と突き刺すと

トロ〜リ、トロ〜リ滴るチーズを

ハフハフしながら・・・


「フーフ私もやられた。

フーフアッアッッ ハフハフ

ゴクッ!」

左手で頬を仰ぎながら

口は波のようにフハフハ


「ŧ‹”ŧ‹”出張って言いながら

女と温泉に行ってたのよ。

信じられる?

一気に冷めたワ。

知らないと思って平気で嘘ついてサ

マジムカつく‼」



「へ〜でもそれって美乃の彼の事

でしょ・・・💦」


美乃は`✧ω✧´ギラッと睨んで

「モ、ト、彼だよ。

元彼‼」

と結菜に念を押した。


「ꉂꉂあははは

ゴメンゴメン‼

でも雄吾に限って浮気って

思えなくて・・・💦

ううん、やっぱりナイナイ

雄吾にかぎってヤッパ

ちがうよね。ウンウン!」


結菜は野菜サラダにドレッシング

をドバー

トマトと卵をフォークで突き刺すと

可愛らしい口をアングリと開けて

ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"ŧ‹"


そんな結菜に美乃は顔を顰めて


「今、何年目?」


キョトンとする結菜に

美乃はふっくらとした頬に

手を当てて又聞いた。


「まさか三年・・・め?」

₺‹"₺‹"ŧ‹"ŧ‹"

結菜はモグりながら首を振る。


「じゃあ四年・・・め?」

突き刺す様な美乃の目を見て

結菜は大きく目を開いた。


“ふーマジかヒットじゃん。“


美乃は炭酸水をゴクゴクゴクと

飲み干すと一息ついて話始めた。


美乃の話によると

「三年目から、

何故か浮気のチャンスが

お約束のように、おとずれる。



三年も彼女一筋できた男達には

他の女が良く見えてくる。


彼女と違うタイプに目が行きだす。


色気がある女とか、反対に初々し

いとか、彼女以外とも恋愛したい


彼女で本当にいいのか?


もっと、自分に合った女がいるかも

とかそんな感情が支配する。


ここで浮気に走る人もいる。


しかし、

四年目に入ると、

結婚がチラつき出し

結婚するのは確定!!


でも

結婚する前にもう一度

恋愛したい。

古女房と化した彼女をキープ

しつつ・・・も


遊びの恋愛を求めだす。

ドキドキ感を楽しみつつ

古彼女と別れるつもりはサラサラ

無い。


何故なら一番の理解者、協力者

自分の事を良く分かってくれて

愛情を溢れるほど注いでくれる

手放すには惜しい存在。


しかし

軽い火遊びは終われなくなり

浮気彼女はご懐妊

それを彼女にバラされて

浮気彼女から逃げられず破局‼


浮気は甘い蜜のように一度

試せば奈落の底・・・


な‼


人もいる訳よー。

勿論、そうじゃ無い人もいるわよ。

ドンマイ!」



「つまり安心な古女房と

スリル満点な浮気相手との恋愛

な訳か!

ちょっと怖いかも」

結菜は少し考えて雄吾に限って

と不安をかき消すように

ナイナイと首を振った。



「勿論結菜の彼氏がその部類か

分からないよ。

だけどねー‼

彼女一筋で来た彼氏君

程、最後の悪あがきするそうよ。


まあ目を光らせておきなよ。」


美乃はあくまでも私の考え‼

と前置きしながら忠告してくれた。


「あっ💦そうそう

スマホにロックかかってたり

トイレが長かったり

風呂にも持って行くなら黒だよ。


まあ早めに釘刺しとかないと

私みたいになるよ。」


そう美乃は3ヶ月前、あんなに仲

良かった彼氏と別れた。

同棲もしてたし、お弁当を彼氏

と2人分熱々な関係に見えていた。


理由は聞かなかったけど

浮気だったんだ‼


今も彼氏は、イヤ、美乃の元彼は

後悔しながら美乃の信頼を取り戻し

たくて必死なのか?


昼休みになると美乃の元彼は

美乃の前に現れ

ご機嫌を伺っている。


ほらほらほらー

向こうから一途な視線を送って

来るのに美乃は気づかないフリ

無視しつづけている。


何人かの同僚とやって来ては

「ここいい!」


シラー


「おいしい?」

シラー のループループ

可哀想に見えるが美乃は容赦なく

無視をする。


美乃の話に揺れたワケでは無いけど

夏帆にも相談してみようと

思いたった。


夏帆のマンション前のコンビニで

本を見る振りをしながら夏帆

の帰りを待っていた。






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