五章 「心の中」

一人ぼっちだった。

 この世界で一人ぼっち。

 私はずっと一人だった。

 こんな境遇もう慣れっこだった。

 今までそうやって生きてきた。

 いつも私を置いてみんなどこかにいってしまう。

 そばにいるとあんなに約束したのに、結局はみんな約束を破って消えてしまう。

 それがたとえ誰でも同じ。

 バカバカと叫んでみても果たして誰に言っているのかさえわからない。

 もう慣れっこのはずだったのに。

 どうしてこんなに考えてしまうのだろうか。

 期待をするから裏切られるんだ。

 でも望んでいるから今度こそはと望んでいるから。

 遠くを見つめるのは未来を考えるから。

 私は一人になってしまうのが嫌だった。

 幸せになりたかった。

 ただ寂しかった。

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