第44話支配の王

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1ヶ月ほどかかり私はこの塔型のダンジョンを制覇することができた。


はっきり言ってこんなに難しいと思わなかったが、1ヶ月ダンジョンの中で暮らして100層あるこのダンジョンをクリアできた。


100層のボスにはちょっと負けそうだったのは内緒だ。


私はダンジョンをクリアできたもののみが入ることが許されるダンジョンの制御室に立ち入った。


まず私はダンジョンの1階層を限界まで広くした。


この操作にはDP(ダンジョンポイント)を多く消費するので、できればしたくないが、ここのダンジョンは狭めのダンジョンなのでこれが必須の操作になってくる。


そして次にダンジョンに入るモンスターをすべて1階層に集めた。


これは私が1ヶ月もこのゴブリンしかいないくさいダンジョンを攻略するのにかかった大きな理由で、できる限りゴブリンの数を減らさないためになるべく戦闘を避けて通ったことが原因だ。


ただただ戦いたくなかっただけとも言う。


だってゴブリンってくさいんだもん。


私はダンジョン中のゴブリンたちが全て1階層に移動したことを確認すると、残ったすべてのDPを使い、ゴブリンキングを召喚した。


こいつ1体出すだけで、すべてのDPが溶けてしまったが、まあいい。


ゴブリンキングには能力がある。


一つはゴブリンを統率する能力。


ゴブリンは我先にと獲物に群がっていく。


だが、ゴブリンキングがいることで、『戦術』『武器』『魔法』などを完璧に使いこなすことができる。


長い時を生きたゴブリンキングには、人間どもの『最高戦略』などという馬鹿げたものは一切通じない。


2つ目はシンプルな身体能力。


見た目からもわかるほど強靭な肉体を持ち『攻撃』『守備』どちらにおいてもかけるものがない。


一つ欠点を上げるとしたら、魔法が使えないくらいだ。


だが、ゴブリンキングはゴブリンをまとめ上げる能力と知能がある。


ただ殴るただ攻撃する。のではなく、相手の急所を的確に攻撃するという繊細さも持ち合わせている。


3つ目はこれが一番でかいと思うが、ゴブリンの強化だ。


自分の配下にいるゴブリンの戦闘能力を常に1,4倍し続けるスキルを持っているため、配下のゴブリンを倒すことですら並の人間ではできない。


自分自身の配下になることで、『支配』などの効果は受けず、なおかつ自分の身体能力すら強化することができる。




「最後の仕上げだ…」


私はダンジョンコアを破壊した。


ダンジョンコアを破壊されたダンジョンはもうダンジョンではないただの建物となる。


私がこの塔型のダンジョンを攻略しようと考えたのはダンジョンコアが壊れたときに、一番影響が出やすいダンジョンだからだ。


いくら上部でもそれは限度がある。


ダンジョンは殆どをコアに依存しているのではっきり言ってダンジョン自体の装甲は紙といってもいいくらいだ。


1000メートルを超える塔が上空の強風に煽られたらどうなるのか答えは明白で、倒れる。ただそれだけだ。


「人間たち!楽しい夜になるといいね!ま、今は朝なんだけどね!」


そう言って私ドミニカは1000メートルある塔から飛び降りた。


【支配の魔王】と呼ばれ、別の世界で恐れられた魔王ドミニカが…

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