第21話 再開

 指定された闘技場に向かうと懐かしい面々が居た。

 ただそれぞれの体はそれなりに鍛えられており全員が既に下級職2つをカンストさせている。

「久しぶりだな新一」

「そうだな。勇」

 既に5つの下級職をカンストさせており1つの中級職がカンストしてある。

 腰には二本の聖剣を穿いてある。ただ俺とは違い革鎧でありブーツもライトメタル製ぽい。

「どうだ?」

「まあまあかな。でもやっぱり目に見えて成長してるから良いよ」

「だな。しかしまあ」

 俺が言うのもなんだが成長速度異常すぎね。既にレベル450とか。いやまあ【勇者】限定の異常な速度に湊の超位書記による爆速レベルアップによるものだろう。そう異常な相手には遭遇しないと思いたいが。

「うん。湊の【天職】のおかげだね。それに【勇者】の効果でかなり異常だけど……」

「短期間で下級3つもカンストさせんなか。詳しくは後で話すわ」

 【封印神】でステータス封印して超級職格の相手にタイマン張って勝ちましたとか言えないよな。それに魔術も幾分か使っていたわけだし。また【救世主】も今はまだ伏せておきたい手札の一つでもある。それに勇にはまだその先の世界を見せる必要はない。

「久しぶりね。新一」

「紅葉も久しぶり。これ【大賢者】さまからの預かり物」

 幾分かの荷物を渡されていたうちの1つであるマイクを渡す。

「音響増幅に魔法効果上昇って……」

「ええ。火力と支援どっちもできるようにしてあるわ。こんなに早く形になるとは思って無かったけど」

「内部機構は地球製のを流用させてあるだけだからね。携帯とか上手く使えば効果範囲も広がるよ」

「へえ。確かに便利そうね。風魔法の応用で戦場に行き届かせるようにはしてたけどね」

 流石は流石なんだろうけど。紅葉の場合は戦場ごと炎で支配していしまいそうなきがしなくもないが流石にまだできないだろう。

「じゃあ頑張ってね?」

「えっ……」

 紅葉の不穏な呟きに思わず後ずさる。ふふっと微笑む。その姿にはいつもなら癒しすら覚えるはずなのだが今日は何故か恐い。凄みがあると言うべきか。

「どう言うこと?」

「それは私に聞くべき質問じゃあないわよ」

 そう言った勇の元に駆け行く。その代わりに湊がユラユラと近づいてくる。

「湊?」

「う〜〜」

 まるで何かを訴えかけるような仕草だが生憎と今まで見たことない症状なので分からない。

「悪かったな。急に消えて」

「むぅ〜」

 優しく語りかけると急に抱きついてきて胸板に顔を埋める。コレ後で立ち直れるのかコイツ。地球とは違って癒せるものがかなり少ないんだよな。

「まあ。新一さんたっら」

「エリスお前なあ」

 黄金の靴にミスルリの双剣やロングコートなどに身を委ねたエリスが教官役を携えてコッチに来た。

「いえに別にそんな意図はありませんわ。あくまで数ヶ月振りの再開を祝福しているだけですわ」

「そーかい。でどうしたんだ?」

 それぞれの装備を軽く見て問う。明らかに【勇者】教育用のものではなく本気のものだ。

「少し気になる噂が流れていたもので。先生は防衛のために残り【騎士王】や【破壊王】が眼を光らせておくそうです」

「まさか連中が?」

 まだ不確定要素の為に3人の超級職を首都防衛の為にしかも1つは攻城戦にて最も力を発揮するタイプを利用すると言うのは確実にアイツらを想定してでのことだろう。つまりは今回の迷宮攻略には複数の意図があると言う訳だ。今回残す戦力というのはそう言う事態を想定してでの事か。それはこの世界の余裕の無さか確認される限りではない特殊超級職を覚醒させずに【魔帝】を下して来た策なのか。

「ええ。本来ならば【先導者】も避難誘導として残るべきなのでしょうが先生の命によりこちらに同行せよと」

 つまり俺はエリスを確実に守り抜く必要があると。【大賢者】は俺のこの世界での職構成を知っている1人でもある。それら全てをひっくるめて1番安全だと予測したのだろう。仕方ない。万が一に備えてアレらを解放しておくべきだな。


 そう決意を込め拳を強く握り締めると湊がどう言う状況か理解したらしく顔を真っ赤に染める。それを微笑ましく見守る周囲の面々。

「ただいま。湊」

「……お帰り新一」

 羞恥で小さいながらも美しい彼女の声に迎えられ俺は1つ枷を外した。

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再召喚者《リタナー》の歩む道 髙﨑 レイ @reitakazaki

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