ほーむるーむ

キリーツ レーイ ゾービ


「さようならゾビ」

『『さようならゾビ!』』


ガタガタガタ ポロッ アッ、コンドハアシトレタ


 今日は五時間までなので、そのままゾンビ担任教師でもあるゾンビ化学教師がホームルームの簡単な連絡事項だけを言い、挨拶をして下校となった。


「ヒト美ちゃん一緒に帰ゾビー」

「ええ、一緒に帰りましょう……ゾビ」


 本当は臭い的にさっさと一人で帰りたいのだけれど、どうせ下校中でも駅でも車内でも臭いが付いてしまうのだから諦めてクサ美と一緒に下校する。


「そう言えば数学の時間にこっち見てたでしょ……ゾビ」

「あはゾビは、バレてた?」

「そりゃバレるわよ……ゾビ。瞳孔が広がったり狭まったりしてたゾビし」


 他愛のない会話をしながらも、ゾビの使い方には気を付けなければならない。

 特にここ数日は色々とミスをしてしまっているので、クサ美に『本当はゾンビじゃないんじゃないのか?』という疑いを持たれている気がして仕方がない。

 朝の会話もそうだし、数学の時間だけじゃなくて他の授業でもクサ美はこっちを見ていた。きっと私がボロを出さないか監視しているのだ。

 目の周りだけじゃなくて体の半分はゾンビの振りの為に色々と細工をしているんだけれど、もしかしたらそれがわざとらしく見えているのかも。

 やっぱり今からでも人間が通う高校へ転校させて貰えないかな。少なくともゾンビの振りをするよりは楽な生活が出来ると思うんだけどなぁ。

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