第34話 二年連続甲子園制覇!そして、凍夜プロへ?

それから時が経ち、いよいよ夏の甲子園に向けての地区大会が行われる

時になった。去年の覇者、春の優勝校の碧陽はシードになっている

ので少し先での初陣になる。その間も凍夜は部員達に指導している。


そうしているうちにいよいよ碧陽の出番がやってきた。地区大会で

球場は満席、マスコミも多く、まるでプロの試合みたいになっていた。


「じゃぁ行くよ。初陣だから何か起こるかわからないからね。油断

して長峰君を出す前に決まったら承知しないよ」

「ハイ」


洋子がきつく言い、部員達は返事をする。凍夜はそれをベンチの隅で

聞いているだけだった。凍夜はスタメンには入っていない。それが

わかると球場が別の意味で沸く。でも、今の凍夜が抑えで出てくる

のもわかっているのでそれまでの楽しみともとっている人は少なくない。


試合が始まり、順調に進む。順調という事は点が入らず、互いに0対0

という事で、去年の覇者が一回戦で苦戦していた。しかも、相手は

毎年一回戦で負けるような所だ。碧陽はスタメンを一年中心にした事も

ある為か、皆緊張したりしていた。それはおそらく、球場の雰囲気にも

のまれていたかもしれない。


「皆、次で点取らないと延長だよ。それとも長峰君に取ってもらう?」

「自分達で取ります」

「じゃぁよろしく」


今回は一年生に任せると遙や二年生達も控えになっていた。一応何人か

入っているが。それでも、この先の事を考えて洋子は一年生を

使うようにした。その回、どうにか一年生達は点を取った。ただ

1点だけだが、凍夜には十分だった。


最終回、投手の交代に球場がこの日一番の盛り上がりを見せる。凍夜が

出て来たので当然だ。

そして、凍夜が一球投げただけで球場は静まり返り、また湧き上がる。

そうして凍夜は三者三振で終わらせ、碧陽は一回戦を突破した。


先発ではなかったが、連続試合出場と、連続三振記録など継続され

マスコミはそういう事で凍夜で盛り上がる。


それから碧陽は順調に勝ち上がり、決勝で風花と去年の再戦をするが

今の碧陽に風花が勝てるわけがなく、この決勝では凍夜をスタメンで

起用し、やはり、誰にも打たれることなくパーフェクトを出し、甲子園

出場を決めた。


夜、凍夜は家でめぐみとゆいと一緒にお風呂に入っていた。


「甲子園おめでとう」

「ああ。まぁ当然だがな」

「そうだね。でもさ、それじゃつまらないんじゃない?」

「つまらない?」

「うん。一人だけ最強ってゲームでもたぶんつまらないからさ。最初は

楽しくても」

「まぁそうだな。正直、最初の一年で目的は達成したからな。今はあまり

モチベはないな。甲子園に出て優勝しても稼げるわけじゃないしな」

「そうだね。ねぇあまり言いたくないけど、あと一年あるならプロに

行ってみたら」

「プロ?」

「ええ。たとえ、一年でもそこで記録を作ったらそれは一生残るし

私達もうれしいからさ。ね、ゆいちゃん」

「プロか。でも、二年じゃドラフトは無理だな。だとしたら」

「メジャーでトライアウトを受けるかね」

「メジャーか。確かに一度行ったが、そこも大したことはなかったが、記録や

金にはなるな」


凍夜は少しでもめぐみ達を楽させたいと思っていた。でも、学生じゃ

稼げない。なら、プロに行くのも悪くないと思った。たとえ、一年

しかなくても。今の自分なら余命より生きれるとも思うようになった

なら、行くのもありだと。


そんな風に思いながら、本格的な夏になり、いよいよ甲子園が始まる

時が来た。


甲子園ではさすがに一年だけには任せれないので、正式なレギュラー

で向かう。凍夜は打者でスタメンに出て、守備はセンターを守る

事になった。その光景も皆初めてなので歓声がわく。

そのセンターの凍夜にさっそく見せ場がやってきた。


先発が打たれ、満塁のピンチになってしまった碧陽。そこに相手の

4番にセンターフライを打たれ、犠牲フライには十分だったが

それは凍夜には通じず、凍夜の超速球が三塁手がホームに来る

前に遙のミットに吸い込まれ、アウトを取った。いわゆるレーザービーム

で、点を取らせなかった事に甲子園が大盛り上がりし、凍夜コールが

わきおこった。


それは次の回でも続き、凍夜の打席、凍夜は初球でホームランにし

簡単に点を取った。


それから投手も立ち直り、碧陽は一回戦を突破した。最終回に当然

凍夜は出て、記録を更新した。

それからも凍夜は打者で出て抑えで投手になり、記録を残す。

そうして、決勝戦まできて相手は去年と同じく、隼人、そして、みなみが

いる名城だ。凍夜は先発で行く事になり、優勝を目指す。


決勝戦、全国が注目し、世界中の野球ファン、関係者が凍夜の投球を

見守る。球場には翔子と加奈子、碧陽学園の生徒達が凍夜を見つめる。

そして、決勝戦の第一球を凍夜は超速球で投げた。打者は当然振る

事も出来ず、球は遙のミットに吸い込まれ、そして、その球速が170

を記録した。


そこから三振の連続で、隼人にも容赦なしに投げ、名城打線を抑え込み

そして、あと一球になると球場はもうコールが鳴り響きっぱなしだった。


その最後の球を凍夜が投げ、打たれる事なく三振をし、二年連続碧陽

学園が甲子園を制し、凍夜は二年連続パーフェクトを継続した。


当然、しばらくの間、凍夜の事で日本中は話題であふれ、もう

日本一有名な高校生になっていた。それは海外でも同じで、凍夜は

野球、ベースボールの神と呼ばれるほどになっていた。


その凍夜は自分の部屋で考え事をしていた。それは、プロに行くか

どうかと言う事だった。

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