第5話 柑橘ピール

 前回のチーズケーキでレモンを使ったから、今回も柑橘系いきましょうか。


 今は梅雨。柑橘類の時期ではありませんが、特に冬場は柑橘類のシーズン。ときどき瀬戸内地方に出張する私は、その時期に瀬戸内出張が当たるとついついあちらでいろんな柑橘類を買って持って帰ります。それでなくても、自宅の庭に温州みかんに清見オレンジ、レモンやら柚子ゆずやら、いろいろ植えてあるのに。

 あとはお土産で大量に八朔はっさくやらだいだい、甘夏やらグレープフルーツやらいろいろ頂戴したりして⋯⋯柑橘は好きですが、特に年末から二月ごろまではとんでもない量に囲まれて消費が大変です。

 いつぞや買った安政柑あんせいかん、最高に美味しかったなー。ジャパニーズ・グレープフルーツともいわれるだけあって、グレープフルーツ風味の文旦という感じで⋯⋯。


 柑橘類はもちろん中身も美味しいですが、実は皮もとっても美味しいものが多いんですよ。ということで、捨てるのがもったいなくてついついピールを作ってしまいます。



【材料】

柑橘の皮   作りたいだけ

砂糖     皮と同量

グラニュー糖 お好みで


 今度こそ『軽く作れる』の枕詞に偽りなし! って、今までのレシピは軽くなかったんかーい! というツッコミが入りそうですが、人によって感じ方は違いますからねぇ⋯⋯。私にはそんなに重くないのですが。


 まずは柑橘類の皮をむきます。ワックスや残留農薬が気になる場合は、必ず皮をむく前に、少量の水でペースト状にした塩を手につけて、皮をまんべんなくマッサージしてください。それを水で洗い流せば、大抵のワックスや農薬は落とせます。


 中身はおいしく召し上がれ♪

 橙のような酸味の強いものは生食きついでしょうから、搾った果汁と醤油を混ぜて『自家製ポン酢』なんていかがでしょう? 美味ですよ。正月飾りの橙の供養にぜひ。



 むいた皮を適当なサイズに切ります。私はピール単体でスナック感覚で食べることが多いので、6~8等分の皮をさらに斜めにスティック状に切っています。ピールを使ってさらに他のお菓子を作る場合は、4~8等分にして皮をむくだけで充分かも。


 苦みの強いピールが苦手な方・カリカリに仕上げたい方は、このあと皮の白い部分を取り除きます。苦いピールや水分たっぷりピールが欲しいなら、白い部分は残しておいたほうがいいです。

 ここで皮の重さを計量。それと同じ重さの砂糖を用意します。これも上白糖で全然問題ないですが、雑味を極力消したいならグラニュー糖や白ザラ糖を使ってくださいね。


 皮を鍋に入れ、ひたひたの水を入れて沸騰させます。このとき、鍋はできれば琺瑯ほうろうの鍋を使ってください。

 柑橘の油は強力なものが多いです。下手をすると金属の鍋ですら溶かします。琺瑯ホーローならそこは心配なし♪


 沸騰したらザルにとってお湯を捨て、また鍋に皮とひたひたの水を入れて沸騰させ……を何度か繰り返します。これが『茹でこぼし』。

 こうすることで油と苦味が少しずつ抜けていくので、グレープフルーツや橙・オレンジなどの苦味の強いものは多めに、みかんのような苦味弱めのものは多くて2回……というように、種類や好みによって『茹でこぼし』回数を変えていきます。油が香り成分ですので、やり過ぎたら寂しいことに……。


 判断材料は、茹でこぼした皮の端をちょっぴり切り取って試食が確実。だいたいの皮は3回くらいでOKです。

 オレンジの類は意外と舌にピリッときますので、それが気になるなら茹でこぼし回数を増やしてくださいね。5~6回もやればいい感じに抜けると思います。


 茹でこぼしが終わったら、もう一度たっぷりの水で皮を茹でます。今度は皮が柔らかくなるまで煮ます。箸や爪で簡単に切れるくらいが目安。



 さて、味つけに入りましょ♪

 茹でこぼしが終わった皮のお湯を切り、鍋に戻します。

 そこに、少量の水と砂糖を投入。そうだなぁ、文旦やザボンのような大型の実でない限り、柑橘類各1~2個なら水は50ccくらいでいけると思います。それを火にかけ、焦げないように菜箸でかき混ぜながら、砂糖を溶かして沸騰させます。


 沸騰したら一度火からおろし、少し冷まします。

 料理は化学。煮物もそうですが、浸透圧の関係で味は冷めるにつれ食材に染み込んでいくんですね。なので……


・ものすごく急いで作りたい! →この冷まし工程は飛ばしても大丈夫。

・少し急ぎたい! →大きなボウルに氷水を入れ、その中に小さなボウルを用意。小さなボウルに鍋の中身を入れてかき混ぜ、強制冷却。

・急がないよ~♪ →そのまま20~30分くらい置いて冷ます。


 てな感じで味を染み込ませてあげてください。

 ん? 大急ぎのときは染み込んでないって? ま、外側は甘くなりますから。煮詰めれば濃縮されますし、ウェットタイプなら茹で上がってから冷ます間に染みますって。


 冷ましたら、また火にかけて好みの乾き具合まで煮詰めていきます。最初は中火で、汁が少なくなるにつれ弱火で。焦がさないように菜箸などで延々とかき混ぜ続けてくださいね。


【ウェットタイプ】

 煮汁が残った状態で終われます。

 冷めるまでしばらく煮汁に漬けておいて、網にとって軽く乾燥させ、お好みで外側にグラニュー糖をまぶします。

 とってもフレッシュでジューシー。刻んでパンや焼き菓子の生地に混ぜ込んだり、ヨーグルトにもいいな。


【セミウェットタイプ】

 煮汁がなくなる頃まで頑張ります。

 網の上で冷ましながら乾燥させ、お好みでグラニュー糖を全体にまとわせます。

 ジューシーさはウェットタイプほどではありませんが、フレッシュな香りは健在。ウェット同様パンや焼き菓子にも使えるけれど、そのまま食べるも良し。チョコがけもギリギリいけるぞっと。


【ハードタイプ】

 煮汁がなくなっても、焦げないようにひたすら菜箸で高速で混ぜながら、極限まで水分を飛ばしていきます。低速で混ぜると焦げてカラメルができちゃうぞっと。

 ある瞬間から、フレッシュな皮の香りが炒めた皮の香りに変化。砂糖が結晶化してペースト状→皮の色に少し染まった白のそぼろ状に変化。

 ジューシーさはほとんどなくなりますが、日持ちは抜群。チョコがけもいけます。そのまま食べるならこれが一番。

 お土産として持参すると、人によっては柑橘油で香りの染み込んだそぼろ状の砂糖すら残さず食べてくれます。



 ということで、私はハードタイプを多めに作って出張先に連れて行くことが圧倒的に多いです。好評ですよ♪

 柑橘の種類によって味も違ってくるので面白いです。



 甘味だけじゃ物足りない⋯⋯という方は、味つけ段階でしぼった果汁も一緒に入れちゃいましょう♪

 いつも適当に入れてしまうので分量は正確に書けないけれど、水と果汁と砂糖を混ぜて味見して、ジュースとしても美味しく楽しめるくらいの量がいいかな。

 こうすると、甘味はもちろん酸味も一緒に楽しめます。美味! 特に柚子がおすすめです♪ 清見オレンジも良かったな。


 果汁を入れるとハードタイプは厳しいので、ウェット or セミウェットの少し手前まででやめておきましょう。

 ハードにしようと頑張って、何度飴を作ったことか⋯⋯。

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