第24話 Declaration of love

「私・・・私・・・御門みかどさんの事が好きです!」


その後は涙がとめどなくあふれてきて、言葉にならない。


『格好悪い!格好悪い!格好悪い!・・・』


告白してから泣き出すなんて、こんな無様ぶざまな真似をするつもりは無かった。


本当は、もっとスマートに告白したかった。


でも追い詰められた私に出来たのは、駆け引きも何もない、捨て身の告白だった。


全てのプライドを捨て、自爆覚悟じばくかくご突撃とつげきした私を、彼が受け止めてくれる保障は無い。


いずれにしても、もう告白してしまったのだ。私に恐れるものは何も無かった。


私はありのままに本心ほんしんを伝える。


「好きです。大好きです。あなたの彼女にして下さい。」


もしここで彼から「ごめんなさい」と言われたら、私はきっとショックで死んでしまうに違いない。


御門みかどさん、お願いです。私を拒絶きょぜつしないで。」


もうはじ外聞がいぶんも無かった。


私は自分から彼に強く抱きつく。


「あなたに振られたら、私、そこの窓から飛び降りて死にます!」


「・・・死なれるのは困る。友達のままじゃ駄目なのか?」


「ダメです!御門みかどさんが私を彼女にするって言うまで、私このまま離れません!」


そう言うと私はさらにギュッと抱きつく。


私の振る舞いが幼稚ようちで無茶苦茶な事は分かっている。

けれど、ここまで来たらもう理屈ではなかった。


私は情熱のままに押して押して押しまくる。


「最初に会った時から、あなたが好きでした。御門みかどさんは彼女はいないって自分で言いました!私が彼女じゃ嫌ですか?迷惑ですか?」


「迷惑とか、そういう事はないけど・・・」


「私、御門みかどさん以外の男性とお付き合いする気はありませんから!御門みかどさんに振られたら、私は一生独身になってしまいます。責任を取って下さい!」


私の捨て身の攻撃に、彼はついに白旗しろはたを上げた。


「全く、とんでもないワガママお嬢様だ・・・蘭堂らんどうさん、本気なんだな?」


「本気です。自分でもどうしようもないくらい、あなたが好きです。」


蘭堂らんどうさん、拒絶きょぜつなんてしないから。君がおそれている事は起こらない。だから一旦離してくれないか?」


「イヤです!まだはっきり答えを頂いてません!」


私は顔を上げ、彼の表情を確かめる。


彼は、困った様な表情で私を見つめていた。


御門みかどさん、お願い!』


私は必死の表情で見つめ返す。


しばらく無言で見つめ合う内に、彼の表情が真剣になる。


これから何が起こるかを直感した私は、そっと目を閉じる。


彼は言葉ではない形で答えをくれた。


彼の唇が触れた時、私の手は力を失い、だらりとがる。


体中がビリビリとしびれたようになり、立っているのがやっとだ。


彼の唇が離れると同時に、私は脱力感だつりょくかんに襲われ、その場にくずれ落ちそうになる。


「おっと」


彼はとっさに私の身体からだささえてくれた。


彼に身体からだあずけながら、私は勝利の余韻よいんひたっている。


私は彼に受け入れられたのだ。


私の心は安心感と喜びで満たされる。


私は今、世界で一番幸せな女だ。

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