第18話 Fake bust

金曜日の夜。


またも妹は俺の部屋で寝てしまったため、いよいよ最終段階さいしゅうだんかいの作業を開始する。


俺はあらかじめかたからはずしておいたウレタン樹脂じゅしせい人工乳房じんこうにゅうぼうを取り出す。


軟質なんしつのウレタン樹脂じゅしはふわふわした弾力だんりょくがあり、胸の素材そざいとしては最適さいてきだ。


前回と同じ様に、妹のパジャマを脱がせてから上半身を起こしてベッドわきかべに寄りかからせると、まず人工乳房じんこうにゅうぼうのフィッティングを行う。


手間をかけて作成した人工乳房じんこうにゅうぼうは、想定通り妹の胸にピッタリとフィットした。


「よし、大丈夫だいじょうぶだ。」


俺はこの結果に大いに満足する。


これで制作せいさくは最大の難関なんかんをクリアした。


次は着色のための色作りだ。


俺が入手にゅうしゅしたウレタン樹脂じゅしは最初から肌色はだいろに着色されていたが、妹のはだの色とはことなるため、そのまま使う事は出来ない。

着色が必要である。


肌色はだいろのアクリル絵具えのぐをメインに、他の色を加える事で、妹のはだの色に近付ちかづけていく。


パレットで作成した色をうすくカットしたウレタン樹脂じゅしけると、その小片しょうへんを妹の胸に置いて色の違いを確かめる。


試行錯誤しこうさくごの末、ついに違和感いわかんのない満足のいく肌色はだいろが完成した。


アクリル絵具えのぐ速乾性そっかんせい特徴とくちょうであるため、せっかく作った色がかたまらない内に、手早てばやく着色する。


着色が終わった人工乳房じんこうにゅうぼう絵具えのぐかわくのを待ち、俺は再度フィッティングを行う。


結果は予想以上のものだった。


1メートル以上はなれてしまうと、一体どこからが本物ほんもので、どこからが偽物にせものなのか見分みわけが付かない。

それほど完璧かんぺきに胸にフィットしていた。


よほど目をこらさない限り、両者の境目さかいめ判別はんべつする事は出来ない。


残るは乳首の着色だ。


妹の右胸と左胸は大きさだけではなく、乳首の色や形も微妙びみょうことなる。


その微妙びみょうな差を正確に再現さいげんするのが、俺なりのこだわりだ。


俺は本物の乳首と見比みくらべながら、丁寧ていねいに着色していく。


ここで手をけば、作品のクオリティが大きく下がってしまう。


絶対に妥協だきょうする訳にはいかなかった。


そして乳首の着色が終わり、ついに作品は完成した。


制作時間せいさくじかん費用ひようの両面で、今までに無い大作たいさくである。


妹の反応は全く予想出来ないが、自分としては満足のいく作品に仕上がった。


俺は見事みごとにDカップに変身した妹の胸を見つめながら達成感たっせいかんひたっていた。


***************************************


翌日


妹は学校が休みのため、俺は妹が目覚めざめめる前に起床きしょうし、指導教授しどうきょうじゅの手伝いをするため、そのまま外出してしまう。


帰宅したのは、午後3時を過ぎていた。


「お帰りなさい」


玄関を開けると、奥のリビングから妹の声が聞こえてくる。


俺は恐る恐るリビングに入った。


「兄さん、グッジョブ!」


俺の顔を見た妹はそう言うと、右手の親指を立てる。


「そうか、今度の作品は気に入ってくれたんだな?」


いつものように怒られる事を覚悟かくごしていた俺は、妹の意外な反応にびっくりする。


「今までのしょうもない作品に比べて、これは実用性じつようせいがあります。気に入りました。」


「じゃあ学校にも付けていくんだな?」


「まさか!そんな訳ないじゃないですか。兄さんはアホですか?」


ほめられたと思ったら、えらい言われ様である。


「あくまで休みの日にプライベートで使うだけです。」


「ただ素材そざいがウレタン樹脂じゅしだからな、そんなに耐久性たいきゅうせい期待きたい出来ないぞ。」


こわれたら、また作ってくれますか?」


「もちろん。お安い御用ごようだ。」


俺は人工乳房じんこうにゅうぼうを胸にけるための医療用両面いりょうようりょうめんテープを妹にわたす。


こうして「妹Dカップ計画」は無事に成功した。

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