第11話 Invitation to meals

「ここだよ」


2人は5分程で新宿御苑しんじゅくぎょえんの近くにある大きな画材屋に到着とうちゃくした。


店の中に陳列ちんれつしてあるのは、友梨佳ゆりかにとって、見たことが無い商品だらけだ。

友梨佳ゆりか興味深きょうみぶかげに店内てんないをキョロキョロ見回す。


「画材屋に来たのは初めて?」


「ええ、そうです。」


御門みかどは広い店の中をまよう事無くスタスタと移動いどうし、目的の材料ざいりょうを次々と買い物かごの中に放り込んでいった。


友梨佳ゆりかはそんな御門みかどの後を早足はやあし一生懸命いっしょうけんめいについて行く。


必要な材料ざいりょうそろえた時になって、御門みかどはようやく自分が友梨佳ゆりかを全くかまっていなかった事に気付く。


「ゴメン、自分ばかり夢中むちゅうになっちゃって。つまんないだろ、画材屋なんて。」


「いいえ、全然。」


彼の心配にはんして、友梨佳ゆりかは全く機嫌きげんそこねていない様子だった。


『これがもし妹だったら大変な事になっていただろうな・・・』


御門みかどは取りあえずホッとする。


買い物が終わった御門みかどは、今度はゆっくりと歩きながら、店内にあるめずらしい商品について、友梨佳ゆりかに説明する。


友梨佳ゆりか退屈たいくつする素振そぶりもなく、御門みかどの話を真剣に聞いてくれた。


『育ちの良さそうなお嬢様じょうさまだけど、いいだよな・・・』


御門みかどは彼女に好印象こういんしょうを持つ。


会計を終えた2人が画材屋を出た時、時刻はすでに午後2時を回っていた。


「もう2時か・・・あれ、もしかして昼ご飯まだだよね?」


「はい、まだです。」


「そう言えば俺もだ。済まない、気付きづかなくて・・・そうだ!画材屋に付き合ってくれたおれいに、昼ご飯をおごるよ。」


「本当ですか!」


友梨佳ゆりかの返答は喜びにあふれていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る