第5話 冒険者ギルドへ

アルが水汲みに行った後…


 『うっし、これで午前中の家でできる仕事は終わったな。後はアルが戻ってきたら、冒険者ギルドに行かねぇとな。あっそうだ、セーラ頼みがあるんだが。』

『あら、何かしら。』

 『アルが冒険者に登録した記念にな、武器をプレゼントしたくてな。アドバイスが欲しくてな。』

『んーそうねぇ、幅広く試させた方が良いんじゃないのかしら?明日、アルを連れて武器庫でいくつか選んで私とあなたでダンジョンモンスター狩りに行ってから決めるのはどうかしら?まあ、今日武具店行くでしょう。あーでもメニラに見て貰ったら、彼女なら面倒見もいいし。』

 『そうだな。そういえばリーズはどこへ行ったんだ気配がしないが。』

『ご飯を食べ終わったらアルの元へ行ったわよ。』

 『えっ…嘘だろ。』


 どこかおてんばというか気の抜けた父である。


・・・・その頃、アルとリーズは


 『アルゥー待ってよー、リーズも水汲み手伝うー』

「おっ、手伝うのありがとうな。」ナデナデ

 『えへへ…手~つなごぉ』


「ちょっと急ぎ目にやるから今日は俺が入れるな。」

 『分かった~。』


 昨日、リーズ転んだことを思い出し、気遣いでリーズが運ぶバケツの水を少なくして、自分のバケツに入れ水の量を多くしたのは内緒だった。最後移す量を減らしてやったら…


『今日はうまく入れれた、ふっふふ。』

 「おー良かったな。」

『うん!』


 こういう風に自信を付けさせるのも大切だし、ちょいとした事で喜びながら帰ってくれると良いよな。


「『ただいまー』」

 『おっ、帰ってきたか。アル…冒険者ギルドへ行くぞー』

「あいよー、水置いたらすぐ行くよ」


リーズとセラーが見送りに来てくれた。


「行ってきます。」

 『いってらっしゃいー、晩御飯はご馳走よ。』


冒険者としての歩みを始めたのであった。

 おしまい……終わんないよ。まだ…




 『さて、この集落がどんな感じって思う?』

「いきなりステー……じゃなくて、何?」

 『いやな、俺らはこの集落を故郷って思ってるから聞いてみたくてな。』

「何か深い歴史でもあるの?」

 『いや、そんなでもねぇな。十数年前だがな。アルよりも小さいころな、異種族の戦争があって勝ったんだ。んで…』

「その時の奪った領土がここってこと?」

 『まあ、そうだなぁ。開拓者が送り込まれるわけだが、色々あってそれに入っちまってな。』

「ほへぇ。」

 『あそこの山の向こうが俺らの本当の故郷だけどな。』

「街道とか通ってないの?」

 『実はそうだ。飛び地みたいなもんだな。でもなアホみたいに生きやすいだよ。しがらみだったりとなくてな。まあ色々だ。段々とここら辺は町ぽくなってきただろう。』


 指さされた方向を見る。つまり、俺が初めて来た森の方向が、山脈を超えた先が本国らしい。日本語むずいな。

 そして、この付近は町というか、道が舗装され、建物もかなりレンガなど多彩な建造物が並んでいる。雰囲気的には商店街みたいな感じだ。


 『であそこの森の中に古いダンジョンって所がある。別名、黄金のダンジョンと呼ばれてる。』

「黄金のダンジョンって、夢が広がリング」

 『たくっ、意味なんとなく分かるが、別に金が取れるわけでもないんだ。あそこの宝箱は新鮮な食料や調味料の入ったツボが出てきたりしたからだ。開拓者にとって食料は黄金に等しいだろ、そういうことだ。』


 集落の北側にある森のダンジョンの中にあるらしい。

 歩いて40分ぐらい掛って、ようやく見えてきた。看板には盾に真ん中に大きく描かれて、魔法使いの杖と剣がクロスをしていて遠くからみて、人の出入りが多く分かりやすかった。


 「ようやく着いた。思った以上に遠いな。」


 都会に住んでたら、歩いて行くぐらいなら、電車使うレベルだ。新宿から秋葉ぐらいの距離だな。


『でけぇだろ、この集落で一番大きい建物になるからな人も集まってここら辺は町と呼べるぐらい開発が進んでるからな。付近のお店は大体いいお店が多かったりするが、はずれもあるから気をつけろよ。とりあえず、中に入るぞ』

「あいよ。」


 様々な文化が混じった感じのヨーロッパの建物だった。そして多彩な種族が居た事に驚いた。獣人と人間が多いね。

 中に入ると広く、一階には武具店などのお店があったり、すごい賑わっていた。お父さんについていくと、二階に上がる階段を上がり、お父さんが受付嬢に声を掛け、案内される。


 個室に案内された。応接室みたいに一人でいると微妙にソワソワする広さだった。むずがゆい・・・


 少し時間が経ち、担当の人が出てくる。女性の人だ。美人お姉さん…というより青色だからクールぽく思える人だ。ただ学生に混ざっても違和感ないと思う、制服含めて…


 『どうも初めまして、アル君って言うんだね、お父さんから前に聞いてたわ。私はメニラ、メニラ・クラべートよろしくね!お父さんの…いえ、ギルの依頼担当をしているわ。』


 活発ぽい、クール系ではない。

 なおギャップがすごい…言わないけど、大人の色気感じると思うし若く見えないが、ショートヘアの無口な女の子と思ってたからこその、何て言うんだろうか活発系は社交的で愛想が良いからちょこちょことことん刺さるのだ。


「アルーです。よろしくお願いします。」

 『ギル、この子が前に言ってた子なの?意外とかわいいじゃん。』ナデナデ

「ガーン、カッコヨクナイ」

 『あっ…ごめんね。ついね。でも、きちんと筋肉もついてるし、頑張ろう。』


 ちょっと待って、かわいいはない思う。マジで…うれしいと言えばそうだけど…どちらかというと、かっこいいとかできる人って言われたい。


 『そうだろ、なんたって自慢の息子だからな。』

『んで、今日はどうしたのその子の冒険者登録だけかな?』

 『そうそう、冒険者登録ともう一つあるが後でいい。先に登録したい。』

『わかったわ、アル君冒険者ギルドのルールの説明するわね。』

  

 冒険者の登録の説明が始まる。


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