第4話 転生二日目 

   夢の中…?真っ暗な空だ。


 夜なんだろうか。遠くに星が見えるぐらいしか分からなかった。

自分の意志で動かそうとしたが…動かない。


 急に視点が動き出した。


 ヒューン


「っ―――――!(地面が見えないぞ!)」


 いきなり下を向くと海に山、島…などが見えた。


 また、動いた。



 俺がいる所は、大気圏にまで届きそうなほど大きい木の枝の上にいる。こんな木が存在するのかと思うがそこまで意識が回っていなかった。


 まるで世界のすべてが見えそうな感じで、空を見上げると月がきれいに輝き、星はそこまで光ってない、月明かりで明るいから見えずらいのだろう。

 枝周りを見渡すと、人影が見えたがもやがかかってて見えない。さらにグレー掛かった光がいくつも現れる。


 例えるなら視力が悪い人の感じと言えば、想像できるかもしれない。4、5人見えたが、ぼやけてて人物像ぐらいしか分からなかったが、何となくだが一人だけ色がついてた。淡いピンク色だ。


 何でそんな色なんだろうか。イメージカラーなのか。近づいて見ようとしたら、顔の輪郭が笑顔になった。

 それは、まるで顔文字のように曖昧な感じであった。


 『大丈夫、貴方ならここに来れるわ。もうすぐ―――――――ね!アルっ!』


 何故だか、分からないが心が温かくなった。…それが何なのか分からない。

いずれ巡り合う人物なのかと思うが…


地面が緑色の光で何も見えなくなる・・・。



 成人男性の声が聞こえた。


 『夢を語る物は周りを惹きつける、それはやがて一人の世界になるだろう。すべてを変えるだろう。そして現実を見て絶望し、破壊をもたらすか。努力し希望に抱き仲間と共に変えるか。ここは、ありとあらゆる物が存在し、――――――だから・・・すべてを必ず成せ…』


 そして、誰かが呟いた。




 言葉の途中で地面の接地していた感覚がなくなり、落ちた。


 タララン タラランラン


 「はっ!仕事!」



 何時ものように目覚まし時計兼スマホはなり直ぐ止め一度で起きて、バス電車を乗り継いで会社へ向かった。


 「おはようございます。」


 始業したものの、いつもの作業を始める。数年もすれば慣れたものでチラッとネットニュースも見ていた。仕事中に何やってんだって、まあ天気とかにカーソル合わせたら出てくるからなぁ。

 会話の種ぐらいで同僚に話したりするための話題作りも兼ねた感じである。


 「ここをこうしたら良くなりそうなんですけどいいですかね。」

 

 適当に生きていた。自分が作業が短縮されれば楽になる特にそんな感じ、とにかく楽に生きていた。


 ガタガタ ドゴガガガ バゴゴゴン


 「地震か、少し大きいな。……やばっ」


 これは、日常を破壊した。


 序章に過ぎない、常に現代は常識は変わり続ける。もし都心で物が届かない、生活物資が届かない事があったら…それが届く日がいつになるかも分からない中でこれが起きた時に死ねたら楽と言えるくらいに…。


 「食料がない。倒壊した民家から食いもんを探さねぇともうだめだ。」


 倒壊した、所から物を取る事から少しずつエスカレートしていった。


 グレーゾーンが広がり続けるが一定のラインは越える人たちを治安を維持をする人達が何とかし続けていた。


 ドゴッ バゴッ


 「いつまで続くんだ。決断をする立場だから、切れんだよ。バーカ、寝よ。」


 誰にも聞こえる事のない妬み言葉を言いながら、思いを発散し寝た。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 コケコッコー チュンチュン モォーモォー


「うるせぇ!!ブレーメンの音楽隊かっ!!!」

 『アルニィ…?』


 って…!あっ…やべ、起こしちゃったか。今まで人と一緒に寝る事が無かったし。まさか、動物の鳴き声で起こされる事なんて一度もなかった。


『ブレ……メン?……すぅ…すぅ…』ポンポン


 流石に夜明け直後みたいな時間に起こしちゃった。リーズはまた眠りにあっさりと入った。本当に、安心できてるんだな。


 ワオォーン


「んー?朝か~夜更かししたわけでもないし。犬というかうるさい、ブレーメンの音楽隊じゃあるまいし。」




 伸びをしながら起き上がり、リビングへ行く。お母さんはもう既に起床していたようだ。どの時代のお母さんも朝早いなぁ。前世は、ただ単に夜更かししてただけだけど。


『あら、おはよう、アル』

 「お母さん、おはよう。」

『今日は、いつもよりも起きるのが早いわね。まだ、ご飯作ってる途中だから外で筋トレでもしてたら。』

 「んじゃあ、そうしようかな。」


 外へ出た。


 そういえば、木こり兄弟のメニューって何だっけな。えーと…確か。


 スクワットぽいやつとか腰回りと腕周りの筋トレだが1セット50回とかだ。これを3セットやるようにしてたが、やりすぎである。


 さすがに成長期にこれは、10~20回くらいで十分だと思う。最大でも朝夕に1セットぐらいじゃないと良くない。しかも50回だとヘタレるため、効果も薄くなるし。ただ最後のセットは自分の限界までやるのがいいかも。


 陸上など運動系に入部してた頃のメニューや方法を用いる。


 大会にも出た学校のため、コツなどやどういう筋肉に効くのか…雨の日の筋トレの嫌な日を思い出しつつ、振り返った。



 完全な運動系の男子ではないな、元々朝アホみたいに苦手で通知表に200くらい遅刻という記録が出る位で、当然大会などの朝集まる事なんてできるわけないため、学校のクラブや部活に興味なかった。


 そこまで大会でもいい成績出せなかったし。運動会でかけっこで1位を取ったのが好きになった理由で走る事が好きだった。それでも中学はモヤシだったし。高校で部活強制参加で競争のないスポーツに陸上に入ったが…ここで役に立つんだなと思いながら、自分の体を見ていく…。


 体操をし、筋トレをする。腕立てと背筋や腹筋、スクワットを3セット行う。


 休憩がてら5分ほどジョギングなどを入れていると、やっぱり……前世の俺、運動系の才能無かったんだな。息切れなどがしない。


 「何か、転生前より体の反応と良さといい、きっちり転生前の自分がやってた感じとか、疲れ具合とかまったく違うし、今のうちに正しく鍛えられれば結果も出そうだ。若いうちは数を少なくして、質を重視する感じで鍛えようっと。」


 ゆっくりペースにしつつ、負荷を大きくかけていく感じで鍛える。


 ふくらはぎと骨の隙間を少し強く手で握って肉離れの兆候とかないかも見ていく、今の体を知るためにやった。痛みがないから分からないな、陸上部でやった時はしょっちゅうなってたからまだ分からないのかものんびり面倒を見て行こう。


 今日の一日の予定を考えるが、今は何やればいいかな。とりあえず、お手伝いしつつ、ステータスがあるし自己分析しつつ、スキルも調べられたりするんかな。あとは農作業のお手伝いとかいいなぁ。


『アルーもうすぐご飯できるから、水浴びしてきなさーい。』


 呼び出しが掛ったので切りが良い所上がって、水浴びをしてからリビングへ向かった。


 「おはよう」

『おはよぉ、アルにぃ』

『おはよう。アル、冒険者ギルドに一緒に行くぞ。』

 「まあいいけど、何で?というか、顔…どうしたの。リスみたいだけど。」

『プププ、リス…ご飯詰め込み過ぎたリス…アハハッ』

 『はぁ、まあともかく行くから準備しとけ。』

「はーい」

 『では『「いただきます。」』』


 喧嘩?にしてはお母さんは何ともないし、あー虫歯とかかなぁ。

意外に動物のイメージでツボに入りやすい妹である。

 

 『ギルドに登録と昨日の事をギルドマスターと話しにな。(もぐもぐ)まあ、後は武具店とか(もぐもぐ)、そういうこった。』

『ちょっとあなた。リーズがマネしたらどうするの?』

 『アッハッハ、大丈夫だって俺よりもアルの真似をしてる時が多いだろ。』

『まったくもう…』

 「そういや、今日は井戸に水を汲みにいかなくていいの?」

『あら、忘れていたわ。お願いしてもいいかしら。』

 「あーわかった。リーズはご飯食べてるから、一人で行ってくるわ。」

『助かるわぁ。アル、ありがとう。』

 『セーラは神経質ぽい所からな。(ゲシ)痛い(ゲシ)悪かった。(べシ)すまん。』

『わわわ…急いで食べなきゃ。……アルにぃ~待ってよ~』パクパク


 お父さん一言多いよ、思いながらバケツを持ち行ってくることにする。ちなみにリーズは食べるのに集中したり、周りを見てないというかおいしそうに自分の空間に入る為、真似する余裕ないよ。


 めっちゃポワポワしてたし。ゆっくりリーズを待ちつつ一緒に行動した。

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