第5笑 無愛想な男とユーモアな男女

次の朝の日の出来事だった。あの輩がやってきた。


         


          ◇◇◇


風信は今日はるんるん気分でいつものように、ヒヤシンスの水を変え、お世話をしていると、部屋の扉のほうからコンコンッとノックする音が聴こえた。


「ん? 誰?」


「かぜくん、友達が呼びにきてるわよ」


母・風美かざみが部屋の扉を開け、風信に声を掛けた。


「は? だれ?」


「女性よ、女の子! 一緒に学校に行くから呼んできてって言われた」


「は? 女性? おれ女性の友達いなんやけど......」


「え? でも同じ高校の制服よ」


「誰だよ......」


風信はヒヤシンスのお世話が終わり、朝食の食パンを咥え、家の玄関の扉を開けた。


そこには、ある女性が立っていた。


「あら……ずいぶん支度が遅かったわね。あなたもしかして、女子なのかい? 風信くん」


風信はを疑った。びっくりして、食パンを落とした。


そう、ポトリ......と。


「え? だれ? お前......」


扉の前には、見知らぬ女性が立っていた。


風信は困った顔をするも、トコトコと歩き始める。


         ◇◇◇


二人は学校に向かうため、ひたすら道路みちを歩いていた。


風信が先に歩き、その女性は風信の後ろ姿をひたすら歩いていた。


 二人とも一言も話さず。


風信は途中からぶつぶつ言い始める。


「......え? なんなの? これ? おれにあんな可愛い女友達居たっけ? 待てよ? これは夢なのか? いや、この感覚は絶対に違う。はっ! そうか!?妹だ! いや、妹いないけど、あれだよあれ、実は私、妹だったんだ。的な感じだ! そうだ! そうだろ!じゃなきゃこんな可愛い子が俺と歩くわけがない!」


などと、ぶつぶつと言ってる間、その女性が途中から話しかけてきた。


「風信? どうしたの? ぶつぶついってるけど、大丈夫?」


「ひょえぇぇ!!」


風信はびっくりした。


「もしかして......」


「な、なんだ??」


女性はカバンをガサガサなにかを探し始める。


「あ、あった。はい」


と、女性は絆創膏を風信のおでこ貼った。しかも斜めに。


「うわっ! なんだ!? なんで貼るんだよ!? なんだ、それは? ぶつぶつ言ってたから、あれか? 頭おかしいから治れ! みたいな感じで貼るな!」


「あら、よくわかったわね」


「うおっ! 本当にだったのかよ! マジかよ」


「おい、まてよ? こんなアホなやり取り、見に覚えがあるんだが?」


すると、風信は目を凝らして、その女性を見詰めた。


「んん・・・・・・・」


.................................?


風信はあの動物と照らし合わせに成功した。そして、少しずつ口を開き、びっくりしていた。


「あ......おまえ、もしかして......猫か?」


「は? なによ今さら? あと、私は猫ではなく、碧音よ! あ・お・ね!」


「お、おう」


「早く行くわよ! また遅刻したいの?」


「お、おまえから遅刻したいの? とかよく言えるな」


「失礼な」


二人で再び歩きはじめた。そんな中、風信はずーと考えていた。


それもそのはず、だって、こんな細くて可愛くて、目が大きくて、たしかに猫みたいな可愛い顔。

背は高め。言うなら170cmはある。風信よりでかい、身長が。

顔もちっちゃいし、どちらかというと、女子にモテそうなタイプだ。おっぱいも大きい。多分Fカップはあるだろう。どちらかというと、清楚系の女性だ。背は高いのに、なぜか小柄に見える。身体が細いからだろう。肩幅が広くなく、一本の糸のような身体。

髪はちゃんした黒髪で、セミロングで、髪は細く長めの髪。近くにいると、良い匂いがする。

見た目は、クールな感じで、姿勢が良く落ち着きがある。


だが、こんな美人がなぜあんな着ぐるみを着ていたのか不思議でしょうがない。などと風信は、思っていた。


「はあ〜」


風信は、ため息をつく。


すると、碧音は独り言を言いながら、再びカバンをガサガサとなにかを探し始めた。


それに気づき、風信はしばらく碧音あおねを見ていた。


「あった......」


「ん?」


碧音は、あるものを出して、食べ始める。


「ええええ!! なに食ってんの?!」


「え? なにって? これはグラノーラよ! 朝食を食べ忘れたのよ。あなたのせいで」


「ええ!? グラノーラアアア! 朝食? ていうか、いつの間にか俺のせいにされているし!」


「ええ、そうよ? 実質あなたのせいでは? 待たされたんだから」


「え〜、なんなのこの人? なん中理不尽な……」


「いやそうじゃなくて、そもそもなんで家に?」


「え? なんでって、部活の先輩だからよ」


「は? 先輩だからって、なんでくる?」


「ふええ......ダメなの??」


と、碧音先輩はハンカチを取り出して目元において、眼を潤わせていた。


「チッ! くそうぜえな! 分かったよ、もう早く行くぞ」


「はーい!」


「こいつ......ホンットにこの人は、なんで先輩なんてやってんだろ......」


「年齢が上だからだろ」


そんなことを言われつつ、風信は碧音と二人でしぶしぶ学校まで歩いた。


二人は、学校の玄関先に着くと、靴箱の場所が1年と2年と違うため、一度別れた。


「じゃあ......」


「おう」


風信が靴を上履きに履き終えると、同じクラスで、中学からの友達の小園紫苑が話しかけて来た。


「よう! かぜのぶ! おはよう! 今日も無愛想ぶあいそうでやる気無さそうだね!」


「おう、しおんかおはよう。無愛想で悪かったな」


「ハハハハ! ごめんごめん! それよりこれ見てくれよ」


紫苑は風信にある雑誌を見せた。


「あ? なんだこれ?」


「これどう?」


「は? いや、どうって言われても......コスプレイヤー萩原会心•メイドコスプレ写真集? なんだこれ? なんて読むんだ? かいしん?」


「は? なに言ってんの? これは『かいしん』と読むんじゃなく、『えこ』って読むんだよ。全く、情けないね』


「はあ?? これでえこって書くの? わかるか!? ていうか、これは日常的に必要性がある知識なのか?」


「いや、全然」


と、紫苑は風信に対してキョトンとして、こいつ何言ってんだ?

みたいな顔で、顔をフリフリッと横に振った。


「こいつ......ザ•理不尽ロリオタク」


「ふっ、もっと褒めたたえたまえ」


「褒めねえよ、褒めてねえわ。けなしてんだ」


などと言っている間に、見知らぬ女性が二人の近くを通り、上に行く階段を上がって行った。

 時を同じく、その女性が上がる直前に碧音はその女性に挨拶をした。


これについては、二人は話ていて、気づいてなかった。


そして、碧音は、バカな話をしている二人のところへ向かった。


「風信くん、なにしてるの?」


「うわっ! びっくりした!」


「ん? 誰だい?」


「あ、えっと......猫?」


「は??」


「ちょっと! なに言ってるの!」


「だって、本当のことだろ」


「違いますっ!」


「もしかして彼女?」


紫苑のこの発言に対して風信と碧音は、全力で否定した。


「しおん! 勘違いするな! ただの先輩だ! 部活の!」


「そうよ!」


「なんだ〜、そうなんだ〜!」


「全く! そうだ!」


「と言うことは、かぜのぶが前に言ってた部活の話だね。これはこれは、先輩でしたか!? 初めまして! 僕はこの無愛想な男の唯一の友達の小園紫苑です」


紫苑は丁寧に碧音に自己紹介をした。


「無愛想なっていうな!」


「これはどうも、ご丁寧にありがとうございます。私は、この無愛想な男の部活の先輩、部長の柳、柳碧音よ。ちなみに昨日はおじゃましました、よろしくお願いします」


「はい! お願いします! なるほど、昨日の方でしたか、もしよかったらいつでもこいつを持っていってください」


「あら、ありがとう! そうするわ」


「ふざけんな!」


紫苑と碧音は笑顔で握手した。


「おい、どうでも良いけど、もう時間ないぞ?」


「そうね、もう行くわね。じゃあ、また部活で」


「おう」


碧音は、挨拶をして2年の教室に向かった。


         

        ◇◇◇


しばらくして、風信たちも1年の教室に向かう途中、紫苑が話かけてきた。


「かぜのぶ、柳先輩、綺麗な人ですね。かぜのぶのタイプなんじゃない? 好きなんでしょ?」


「バカ野郎! やめろ! なんであんな、変なやつのことを......もういいだろう! 行くぞ!? 遅刻するぞ」


「照れちゃって」


「うるさい!」


そういうと、話を切り上げ、二人は教室に入った。


そして、チャイムが鳴る。


キンコンカンコーン キンコンカンコーヒー 


と、鳴った。


生徒たちは、チャイムを聴いて自分の席に着く。


風信や紫苑も、席についた。


さあ、これから、愉快な学校の始まり、始まりだ。


 心置きなく、みんなは今日という1日を過ごしたまえ。


ー 5笑 無愛想な男とユーモアな男女 ー 続く

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ヒヤシンスは遊ぶのだろうか? Kohr.435円 @katumata

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