第10話 基本戦術の二つ目

「基本戦術は二つある」

部長の神城くんが言う。

このゲームにおいて基本的な振る舞いというのがあるのだろう。


「二つ?なんだろう、考えてみたい」

僕が聞き返す。

そう、自分で考えてみたい。

こういうゲームにおいて何が大切なのか自分で考えることが重要だ


「そうね、正面から撃ち合っちゃだめということは?」

綾崎さんがヒントを出してくれる。

そう、すでに一つ答えは教えてくれていた。

正面から撃ち合うと、実力差があっても相討ちになってしまう。

そこから考えられることは・・・


「あ、わかった!」

僕は言った。

みんながくれたヒントを答えに近づけていく。

正面から撃ち合うと相討ちする。

相討ちしないためにはその手前が大事ということだ。


「聞かせて!」

綾崎さんは嬉しそうに僕に聞く。

単純に彼女はこのゲームが好きなのと、向上しようとするプレイヤーが好きみたいだった。

スポーツマンシップもしっかりeスポーツにもあるようだった。


「横や後ろから打つ?」

僕がおそるおそる聞く。

そう、正面から打ってはいけないということは、正面以外から打つべきだ。

となると考えられるのは横か後ろから攻撃するということ。


「そう、正解!」

綾崎さんは満面の笑みで教えてくれた。

なんとかみんなのおかげで正解に辿り着いた。

単純に嬉しい。


「それができれば、ある程度操作技術に差があっても、倒せるわ」

綾崎さんが続けていう。

正面から撃ち合う場合は、かなりの操作技術の差が必要だった。

ということは逆にこの横や後ろから打つということが守れれば、結構な操作技術の差があってもなんとかなるということだ。


つまりまだ操作技術が未熟な僕でも、やり方次第で役に立つことができるかもしれないということだ。


「なるほど、これで一つは正解、もう一つは・・・」

僕は呟く。

そう、みんなのおかげで正解に辿り着いた。

もう一つの基本戦術に自力でたどり着きたい。


「いいね。考えてみてくれ」

神城くんも嬉しそうに見ている。

基本的にみんなこのゲームが好きなので、このゲームに熱心な人に優しいようだ。


「正面、横、後ろの位置取りの話は終わったから、それとは違う観点ということですよね」

僕が聞く。

推理するとこうだ。撃ち合う位置については前ので答えがでた。

ということは、それとは違う観点。その手前にやるべきことがありそうだ。


「おお、頭いい」

神城くんはさらにうれしそうにしている。

僕が答えに辿り着こうとしているのを待っている。


「もしかして、そもそも1vs1で闘っちゃいけない?」

僕ははっと気がついてみんなに聞いた。

そう、次に大事なのは、向かい合う前の話ではないかと思ったのだ。


「「「すごい」」」

部室のメンバー三人が口を揃えて言った

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