第7話 発表の目的 練習:桐山さんからもう一度

 桐山さんは、

「前に出ます。」

と言って黒板の前に来た。

そして、

「聞いて。」

と言ってみんなを見た。

俺は顔をあげ、目が合った。

でも、桐山さんは発表を始めない。

それを見て、先生が、

「いいねえ。

まだ、見てくれない人がいるから、桐山さんは発表を始めません。

聞いてと言った後、間をとって、みんなのことを感じようとしていた。

だからできることです。」

と言った後、

「桐山さん、そういう時は、見てほしい人の名前を言うといいんだよ。」

と教えた。

桐山さんは、

「石橋君、こっちを見てくれる?」

と言った。

みんなが見たところで、

「(あ)は、折るとぴったり重なります。」

と言い、

「実際に折ってみます。」

と黒板に貼ってある(あ)の図形に手をかけた。

それを見ていた先生は、

「折るんでしょ。

そのための図形を用意しておいたよ。」

と言って、トレーシングペーパーに書かれた(あ)の図形を渡した。

それを受け取った桐山さんは、図形の辺の線に注意して折った。

トレーシングペーパーが透けて図形の右側の線と図形の左側の線が見える。

それらが、ぴったり重なった。

へー、面白い。

そんな風になるんだ。

俺もできるかなあ。

やってみたいと思った。

石橋君は、もう始めている。

困った顔をしながら、桐山さんは、

「線対称な図形と言います。」

と言った。

それら全部を見ていたんだろう、先生は、

「ちょっと、やめて。こっちを見て。」

と言った。

何だよ、早く俺も確かめたい。

他にも折ると重なる図形あると思う。

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