悪魔が愛した少女の無垢で切ない欲望

 契約により手に入れた欲望を持ち合い、し好品のワインのように楽しむ悪魔たちの品評会。そこである日最高品質とされたのは、とある少女の魂だった。
 少女が悪魔と契約してまで叶えたかった欲望は、悪魔の力を利用してでも叶えられるはずもない切ない願い。だが少女がそのために悪魔に求めたのは「ただ見ていて」という小さなものだった。
 もっとうまくできるのではないかという大人の思惑とは外れた、少女だからこそ無知で無謀で無垢な願い。大層な夢を持っていながら、ちょっとした後押しが欲しいからと悪魔と契約する少女のいじらしさ。そのために少女は最後に死んでしまうのだけれど、だからこそ美しい願いだと思いました。